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最近読んだ本の話 vol.79

 「最近読んだ本の話」の第79弾です。いよいよ涼しくなってきた、と思っていたら、今日は夏のように暑いです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、金原 ひとみ『デクリネゾン』

仕事、家庭、恋愛の全てが欲しい女たちとその家族的つながりを描いた最新長編小説。
二度の離婚を経て、中学生の娘である理子と二人で暮らすシングルマザーの小説家、志絵。
最近付き合い始めた大学生の蒼葉と一緒に暮らしたいと娘に告げるが───。
恋愛する母たちの孤独と不安と欲望が、周囲の人々を巻き込んでいく。
                         -Amazonより引用-

 ひと周りぐらい年下の女性と結婚する男性は数多くいるのに、ひと周りぐらい年下の男性と結婚する女性は限りなく少ない、そのことが妙に引っかかっていて納得いかないというか、年の離れた年下の男性と付き合う女性を応援したくなります。この小説はまさにそういう状況で、主人公の志絵を応援したい気持ちで読んでいました。だけどそういう私の感情とは遠くかけ離れて、登場人物たちの苦悩はあって、小説の中の言葉にハッとすることも多くて、金原さんの小説を読むと考えることが格段に広がっていくところが楽しいです。今回も言葉を追っていくのが楽しかった。


2、髙森美由紀『羊毛フェルトの比重』

手芸店・八戸クラフトに勤めて10年の紬(つむぎ)は、毎日の小さなモヤモヤにつぶされそうになっていた。
リスペクトのない職場、ご都合主義の彼氏、微妙な親子関係…
気にし始めたらキリがないから、すべてに慣れてしまうのがラクだ。すべてにフタをしながら生きていけばいいのだ。 でも、手芸台につけられたタバコの焦げ跡を目にしたとき…
このままでいいのか?30歳・紬の「自分を取り戻す」物語。
                         -Amazonより引用-

 どんな本なのかな?と前から気になっていて、読みました。主人公の紬(つむぎ)は、クラフト店に勤めて10年目です。先輩社員にいびられながらも真面目に働いています。家に帰って羊毛フェルトでぬいぐるみを作る時間が心癒されるひとときですが、彼氏からも母親からもぬいぐるみ作りを否定されます。小学生の男の子にぬいぐるみ作りを教えたり、手作りサイトで販売を始めたり、石積みを体験したりとだんだん紬の行動は変わっていって、とうとうある決断をします。わくわくする物語です。私もこれからどうするのかちょっと考えたいなあ、と思いながら読みました。


3、岩井 圭也『最後の鑑定人』

「科学は嘘をつかない。嘘をつくのは、いつだって人間です」
「最後の鑑定人」と呼ばれ、科捜研のエースとして「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言わしめた男・土門誠。ある事件をきっかけに科捜研を辞めた土門は、民間の鑑定所を開設する。無駄を嫌い、余計な話は一切しないという奇人ながら、その群を抜いた能力により持ち込まれる不可解な事件を科学の力で解決していく。孤高の鑑定人・土門誠の事件簿。
『永遠についての証明』『水よ踊れ』で業界の注目を集める新鋭が正面から挑む、サイエンス×ミステリ!            -Amazonより引用- 

 「最後の鑑定人」と呼ばれる土門のもとに持ち込まれる難事件を、土門が次々に解明していくのが圧巻です。土門の鑑定所の技官の高倉さんが出すハーブ水が妙に気になります。人が噓をつく時の反応を見ているそうです。私だったら顔に出てしまうだろうなあ。なぜ土門は科捜研を辞めたのか、気になりながら読み進みましたが、最後の方で明らかになります。シリーズ化しないんだろうか?


 今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。最近また本を読む時間が減っています。秋になって涼しくなってきたのにおかしいなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。

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