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最近読んだ本の話 vol.59

 「最近読んだ本の話」の第59弾です。桜が満開になりました。毎日見るのが楽しみです。今週は、最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、J・M・クッツェー『モラルの話』

欲望すること。歳をとること。人間であること。
円熟期にある作家が、今どうしても伝えたいこと。
「人間のモラル」の底を描く、余韻に富んだ最新作。
                       -Amazonより引用-

 テンポが良くて読みやすいですが、重要なことが書かれています。余韻が強く残るというか、しばらく自分の考えを整理しようとするというか。もっとこの著者の言葉を読みたい、と思いました。7つの物語が収録されていますが、そのほとんどに登場する「エリザベス・コステロ」という女性が面白いです。いやでも会話の内容が難しくて、私がエリザベス・コステロの家族だったら、まったく話についていけません。切り返し方がすごいなあ、と感心してばかりでした。他の作品も読んでみたいです。


2、石田 夏穂『我が友、スミス』

前代未聞の筋トレ小説、誕生!
「別の生き物になりたい」。
筋トレに励む会社員・U野は、Gジムで自己流のトレーニングをしていたところ、O島からボディ・ビル大会への出場を勧められ、本格的な筋トレと食事管理を始める。しかし、大会で結果を残すためには筋肉のみならず「女らしさ」も鍛えなければならなかった――。
鍛錬の甲斐あって身体は仕上がっていくが、職場では彼氏ができてダイエットをしていると思われ、母からは「ムキムキにならないでよ」と心無い言葉をかけられる。
モヤモヤした思いを解消できないまま迎えた大会当日。
彼女が決勝の舞台で取った行動とは?
世の常識に疑問を投げかける圧巻のデビュー作。   -Amazonより引用-

 筋トレに励む女性会社員のお話で、語り口調が面白くてぐいぐい読めました。ボディ・ビル大会に出ることなど全然考えていなかった主人公のU野は、O島から勧誘されて新しいジムに入り、大会に出るため今まで以上にハードなトレーニングを始めます。食事や日サロ通い、脱毛エステ通いまでどんどんのめり込んでいきます。いよいよ大会当日、U野の最後の決断がカッコいいです。この作品が著者のデビュー作だそうです。めっちゃ面白かったです。筋トレに興味が無くても楽しんで読めます。


3、マリアンヌ・クローニン『レニーとマーゴで100歳』

少女とおばあちゃんは絵に描く合わせて100年分の美しき人生を「なぜわたしは死ぬことになっているの?」終末期病棟の礼拝堂で、17歳のレニーは神父を詰問して困らせる。好奇心旺盛で何事にも前向きの少女は老人向けアート教室に入り、83歳のマーゴと計画する。1年に1枚ずつ、2人の人生を100枚の絵に描くのよ――。デビュー作にして世界中で大絶賛を浴び、映画化も決定した心温まる物語。             -Amazonより引用-

 読み始めるまでは、お孫さんとおばあちゃんのお話かな?と思っていたのですが、そうではなくて、レニーとマーゴは2人とも同じ病院に入院している患者です。レニー17歳、マーゴ83歳、2人合わせて100歳です。2人は、マーゴがゴミ箱から手紙を取ろうとしているところに偶然居合わせたレニーが、機転を利かせてマーゴを助けたことがきっかけで出会います。2人には死が迫っていて、残された時間はそんなに長くはありません。レニーはある日、いいアイデアを思いついてマーゴに知らせます。2人のそれぞれの1年を1枚の絵に描いて、2人合わせて100年分の100枚の絵を完成させるという計画です。読んでいるうちにレニーとマーゴのことがどんどん好きになっていきます。途中で4回は泣きました。レニーとマーゴに出会えてよかった!


 「最近読んだ本の話」今週は書くことができました。春になって出かけることも多くなり、他の誘惑に負けてなかな読書が進みませんが、ぼちぼち楽しんで読んでいきたいと思っています。最後までお読みくださってありがとうございました。

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