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最近読んだ本の話 vol.57

 「最近読んだ本の話」の第57弾です。暖かくなってもうすぐ桜も咲きそう、と思っていたら、急にまた寒くなって目まぐるしいお天気です。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、村上 春樹『職業としての小説家』

いま、村上春樹が語り始める――小説家は寛容な人種なのか……。村上さんは小説家になった頃を振り返り、文学賞について、オリジナリティーについて深く考えます。さて、何を書けばいいのか? どんな人物を登場させようか? 誰のために書くのか? と問いかけ、時間を味方につけて長編小説を書くこと、小説とはどこまでも個人的でフィジカルな営みなのだと具体的に語ります。小説が翻訳され、海外へ出て行って新しいフロンティアを切り拓いた体験、学校について思うこと、故・河合隼雄先生との出会いや物語論など、この本には小説家村上春樹の生きる姿勢、アイデンティティーの在り処がすべて刻印されています。生き生きと、真摯に誠実に――。 -Amazonより引用-

 読んだつもりになっていたけど読んでいなかった本、というのがたまにあるのですが、この本はそういう本です。発売された時に「読みたい!」と思って、買って読んだつもりになっていましたが、他の本と勘違いしていました。やっと読むことができました。村上さんの言葉を読んでいると心が落ち着く気がします。どうして落ち着くのか、この本を読んでいてわかりました。村上さんは、これはこうなんだ、この人はこうなんだ、と簡単に決めつけないからです。小説の書き方や、登場人物のあらわれ方など様々なことについて、語るように書かれています。村上さんと私の共通点と違う点を確認しながら、楽しく読みました。


2、米澤 穂信『氷菓』

いつのまにか密室になった教室。毎週必ず借り出される本。あるはずの文集をないと言い張る少年。そして『氷菓』という題名の文集に秘められた三十三年前の真実──。何事にも積極的には関わろうとしない“省エネ”少年・折木奉太郎は、なりゆきで入部した古典部の仲間に依頼され、日常に潜む不思議な謎を次々と解き明かしていくことに。さわやかで、ちょっぴりほろ苦い青春ミステリ、登場! <古典部>シリーズ第1弾!! ※本電子書籍は通常版です。発売が終了した限定版とは書影画像が異なりますが、内容は同じものです。                      -Amazonより引用-

 米澤穂信さんのデビュー作です。今も続いている<古典部>シリーズの1作目の作品で、絶対読みたい!と気になっていました。
 高校に入学したばかりの主人公・奉太郎は、インドへ旅行中の姉から「古典部に入りなさい」という内容の手紙を受け取り、断る理由もなかったので入部します。2つの謎を解いた後、古典部の仲間からある謎を解いてほしいと依頼されて…。1作目から完成されている感じがすごいです。ああ、そういうことなんだ、と謎が解明された時悲しい気持ちになりましたが、これからもきっと奉太郎は謎を解き明かしていくんだろうな、という期待があって、シリーズの続きが楽しみになりました。


3、乗代 雄介『旅する練習』

中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。
2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、
ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。
「この旅のおかげでそれがわかったの。本当に大切なことを見つけて、
それに自分を合わせて生きるのってすっごく楽しい」(本書より)                                                        -Amazonより引用-

 少し前に『皆のあらばしり』を読んで、その時にこの本が出版されていることに気づき、気になって読みました。
 中学入学を目前にした春休み、コロナの影響で楽しみにしていた試合が中止になり、予定がなくなってしまった姪の亜美を誘って、千葉の我孫子から茨城の鹿島まで合宿に出かけようと提案する心優しい叔父(小説家)が主人公の物語です。2人は道中「歩く、書く、蹴る」を繰り返しながら旅していくのですが、姪はサッカーをして、叔父は行ってみたい場所へ行き風景を描写します。二人のやり取りが楽しくて微笑ましいです。こんな叔父が私にもいたらなあ!と思ったのですが、ちょっと待てよ、甥っ子とこんな旅ができるかな?と自分自身に問いかけてみて、とてもそんな心の余裕がない自分に気が付きました。大人が言いそうなことを言わない大人でいたい、とは思っているんだけど…。できるだけ優しくしよう。
 途中で進路に悩む大学生のみどりさんと出会い、3人で旅を続けます。サッカー大好き少女の亜美がみどりさんに言います。「本当に大切なことを見つけて、それに自分を合わせて生きるのって、すっごく楽しい」この言葉を聞いて私は「本当に大切なことに自分を合わせて生きているだろうか?」と考えてしまいました。


 「最近読んだ本の話」を今週は書くことができました。だんだん色々な物語で頭がいっぱいになってきています。このnoteを書くから少しは整理ができているんだろうなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。


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