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最近読んだ本の話 vol.120

 「最近読んだ本の話」の第120弾です。もう12月です!だんだん寒くなってきましたが、週末は暖かそうです。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。

1、寺地 はるな『わたしたちに翼はいらない』

同じ地方都市に生まれ育ち現在もそこに暮らしている三人。
4歳の娘を育てるシングルマザー――朱音。
朱音と同じ保育園に娘を預ける専業主婦――莉子。
マンション管理会社勤務の独身――園田。
いじめ、モラハラ夫、母親の支配。心の傷は、恨みとなり、やがて……。

Amazonより引用

 同じ市に住んでいる登場人物数人の、今の生活と過去のできごと、今何を思っているのかが描かれつつ物語が進んでいきます。その登場人物たちが、元々知り合いだったり、最近知り合ったりしてどんどん繋がっていきます。中学時代の同級生を殺そうと考えている園田が、シングルマザーの朱音と親しくなったり、朱音と同じ保育園に娘を預けている莉子が、朱音の元バイト先で働くようになったり。不穏な方向へどんどん進んでいくようで、はらはらしながら読み進みましたが、最後はよかった!とほっとできました。
 朱音と莉子が友達じゃないって言いながら仲良くなってるのがいいな。人が人をどういう風に見ているのかが克明に描かれています。読みながら自分も気をつけないと!と思いましたが、たぶんいろんなことが人からお見通しなんだろうなあ。
 

2、『ベスト・エッセイ2023』

日本文藝家協会 編
編纂委員/角田光代、林真理子、藤沢周、堀江敏幸、町田康、三浦しをん

ああしておけばよかった、と悔やむにも、こうしていこうと、と前を向くにも、それを人に伝えるためには、言葉が必要です。
この本には、ささやかで、見過ごしそうな言葉の標が並んでいます。
目を凝らし、耳を傾けてください。
繰り返される新鮮な「いま」の力に、あらためて驚かされることでしょう。
――本書編纂委員 堀江敏幸

Amazonより引用

 2022年に新聞や雑誌などに掲載されたエッセイの中から、編集委員の方が選んだ作品が収録されている本のようです。作家以外にもいろいろな方の作品が読めて楽しいです。やっぱりプロは上手い!オチがあったりなかったり絶妙です。2022年に亡くなられた方を偲んで書かれたエッセイも数多く収録されていて、感謝の気持ちや後悔やその人との思い出を懐かしむ気持ちが文章に詰まっていました。


3、吉川 トリコ『あわのまにまに』

「好きな人とずっといっしょにいるために」、あのとき、あの人は何をした? 
2029年から1979年まで10年刻みでさかのぼりながら明かされる、ある家族たちをとりまく真実。
あの時代、確かにそうやって、わたしたちは生きていた。
隠されていた「わたしたちの秘密」を理解したとき、あなたは平常心でいられるか。

Amazonより引用

 2029年の物語から始まって、10年ごとに遡っていきます。2029年は9歳の女の子・木綿が主人公で、自分の家族の話などを語っていきます。木綿と23歳年が離れた韓国人のお兄さんのシオンがいて、どういう家族関係なのか謎に包まれています。
 次の2019年の物語では、木綿の父と母・いのりの新婚旅行にシオンが一緒にいて、ますます謎、というより父とシオンが恋人同士⁈という疑惑が。    2009年は木綿の母・いのりの妹の操が主人公で、いのりと幼なじみの杏一郎が結婚するのかしないのか、操がいのりの世話を焼いてる話。1999年はいのりと杏一郎が海の家でバイトする話。
 遡っていくにしたがって少しずつ謎が解けていくのですが、怖いです。血縁関係が伏せられていることが。なんやかんや気になって、ぐいぐい最高まで読めたのは、物語の作り方、人物描写のなせる技だ!


 大掃除を早めにやっておく作戦はいまだ実行できないまま、12月を迎えてしまいました。年末まであと3週間です!来週できるかな?最後までお読みくださってありがとうございました。

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