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最近読んだ本の話 vol.64

 「最近読んだ本の話」の第64弾です。今週は少し寒かったですが、バラが満開になって、毎日眺めるのが楽しみです。最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、パオロ・ジョルダーノ『素数たちの孤独』

スキー中の事故で脚に癒せない傷を負ったアリーチェ。けた外れの数学の才能を持ちながら、孤独の殻に閉じこもるマッティア。この少女と少年の出会いは必然だった。ふたりは理由も分からず惹かれあい、喧嘩をしながら、互いに寄り添いながら大人になった。だが、ささいな誤解がかけがえのない恋を引き裂く―イタリアで二百万部の記録的ベストセラー!同国最高峰の文学賞ストレーガ賞に輝いた、痛切に心に響く恋愛小説。 -Amazonより引用-

 少し前に『天に焦がれて』を読んで、他の作品も読んでみたくなって読みました。登場人物と自分との共通点というのは、ほとんどないようなものなのに、なぜか他人事ではないと思わせられるのがすごいです。小さい頃に自分がした判断で、あれは完全に間違っていた、とあとから悔やむことが私にはあって、それは誰にでもあるのかもしれなくて、だから他人事じゃないと思うのかもしれません。『天に焦がれて』とこちらの作品との共通点を見つけました。それは、相手のために噓をつくこと、です。そしてそのことを誰にも言わない、というところ。だから心を惹きつけられるのかなあ。


2、山本 幸久『花屋さんが言うことには』

24歳、ブラック企業勤務。身も心も疲れ果てていた紀久子が深夜のファミレスで出会ったのは、外島李多と名乗る女性だった。彼女は「川原崎花店」という花屋さんを駅前で営んでいるらしく、酔っぱらった勢いで働くことに。
やたらカレー作りがうまい青年や、おしゃべり好きの元教師、全体的に適当な李多。バラエティに富んだ従業員と色とりどりのお花に囲まれながら、徐々に花屋さんの仕事に慣れていく。
花を求めるお客さんの事情はそれぞれ。誰かを祝う花もあれば、少し切ない花もある。いろんな想いが詰まったお花を届けているうちに、紀久子は自分の心にもう一度向き合いはじめ――         -Amazonより引用-

 花屋さんを舞台にした8つの物語が収録されています。楽しそうなお店です。主人公の紀久子がブラック企業を辞めて、花屋さんでバイトを始めて、そこで出会ういろんな人たちとのあれこれの物語です。紀久子は学生時代にデザインを学んで、その技術を生かして就職しようとしてなかなか上手くいかないのですが、花屋さんでその技術が生かされて、よかった!といつの間にか紀久子を応援していました。花にまつわるお話や花言葉なども知ることができて、楽しんで読めました。花っていいなあ!


3、マット・ヘイグ『ミッドナイト・ライブラリー』

その図書館には
“選ばなかった人生"が待っていた。
――あなたには、やりなおしたい過去はありますか?

ノーラはその日人生のどん底にいた。飼っていた猫を亡くし、仕事をクビになり、いくら悲しくても話を聞いてくれる家族も友人もいない。頭をめぐるのは後悔ばかり。
「私がもっといい飼い主だったら」「両親にも亡くなる前にもっと親孝行ができていたら」「恋人と別れなければよかった」「故郷に戻らなければよかった」
生きている意味などもうないと、ノーラは衝動的に自らの命を絶とうとする。だが目覚めたとき、目の前には不思議な図書館が佇んでいた――。    -Amazonより引用-

 主人公のノーラは何もかもがうまくいかず、飼い猫が亡くなって、自ら命を絶とうとしますが、目が覚めたら真夜中の図書館にいます。そこにあるたくさんの本には、ノーラが選ばなかった人生が描かれていて、本を開くとその人生へ飛んで行くことができるのですが、それを何度も繰り返してノーラは自分が選ばなかったたくさんの人生を体験していきます。結婚しなかった相手と結婚したり、途中でやめた水泳を続けてオリンピックで金メダルを取ったり、やめたバンドを続けて世界的なロックスターになったり、ワイン農家になったり、色々です。ノーラにとっていい形に落ち着いたらいいんだけど、と物語の行き先が気になりながら読みました。大事なことは、行動することと、あきらめないことと、誰かのための人生じゃなくて自分のための人生を生きること。読んでいるうちに自分もなんだかすっきりしたような、この人生でなるべく楽しくやっていくしかないな、とそんな気持ちになりました。

 今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。なかなか読むのが進みませんが、無理はせず楽しく読んで書いていこうと思います。最後までお読みくださってありがとうございました。


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