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最近読んだ本の話 vol.84

 「最近読んだ本の話」の第84弾です。すっかり冬のような寒さになりました。もう冬なのかな?今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、五十嵐 律人『幻告』

裁判所書記官として働く宇久井傑(うぐい・すぐる)。ある日、法廷で意識を失って目覚めると、そこは五年前――父親が有罪判決を受けた裁判のさなかだった。冤罪の可能性に気がついた傑は、タイムリープを繰り返しながら真相を探り始める。しかし、過去に影響を及ぼした分だけ、五年後の「今」が変容。親友を失い、さらに最悪の事態が傑を襲う。未来を懸けたタイムリープの果てに、傑が導く真実とは。リーガルミステリーの新星、圧巻の最高到達点!

Amazonより引用

 主人公の宇久井傑は、裁判所書記官として働いています。ある日、意識を失って目が覚めると五年前にタイムスリップしていました。その日は、傑の父親が有罪判決を受けた日でした。この日に戻ってきた意味とは?
 傑は五年前の世界で過去の記憶とは違う行動をとりますが、現在に戻ってきた時に今が書き換えられていて、自分が過去に戻った時の行動が未来を変えることに気づき、父親を助けようとします。傑にできることは何だろうか?4つの裁判が過去と現在で絡み合って、書き換わったために生まれた別の裁判も出てきて、現在と過去を行き来するとても複雑な構造の物語になっていきます。最後の傑の選択がよかった!


2、窪 美澄『夏日狂想』

私は「男たちの夢」より自分の夢を叶えたかった、「書く」という夢を――。女は、男たちのように芸術に関わってはいけないのだろうか、芸術を生み出すこともできないのだろうか? 大正から戦後の昭和にかけて、詩人、作家、評論家……さまざまな文学者たちとの激しい恋の果てに、互いに傷つけ合いつつも礼子がついに掴んだものは――。時代に抗いながら創造する女を描き出した新たな代表作の誕生!

Amazonより引用

 女学校を出たら親代わりの伯父の決めた人と結婚しなければならない、その運命にあらがって女優になりたかった主人公の礼子は、「お兄様」と慕う自称詩人の男・川島と東京に出ます。女性が夢を叶えることが今よりもずっとずっと難しかった時代です。女性たちがあきらめたたくさんの夢や、その後に起こる戦争のことを思うと胸が苦しくなりますが、この物語の主人公の礼子は、そんな中でもついに自分の文章を書き始めます。自分とは生きている時代が違う礼子に親しみが湧いてくるのは、礼子が才能に惚れ込んでもの書きばかりを好きになり、自分の夢はおざなりにして生活のために働きながら、好きな男が書いた詩を宝物のように胸に抱きしめて生きているからだろうか?礼子の本ができてよかった!


3、『あなたのなつかしい一冊』

ひとりひとりに古典がある。
子どもの頃に出会った本、大人の世界を知った本、迷ったときに帰る本。人気作家ら50人が選ぶ〈自分だけの一冊〉。絵と文章が響きあうブックガイド。

Amazonより引用

 どんな本がその人の特別な一冊になるんだろう?と興味を持って読みました。知っている本もあれば知らない本もあって、それぞれの人の思い出を知るのも楽しかったです。読んだことのある本が数冊紹介されていましたが、人によって感じ方が違うんだな、とあらためて思いました。名前は知っているけど読んだことはない作家の本を、一冊だけでも読みたい!と思ったり、私だったらどの本を紹介したいかな?と考えて、なつかしい本のことを書いてみたくなりました。


 2022年がもう終わりに近づいていることが信じられません。今年やり残したことがあったんじゃないかと焦り始めています。最後までお読みくださってありがとうございました。


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