見出し画像

最近読んだ本の話 vol.72

 「最近読んだ本の話」の第72弾です。暑い日が続いていますが、今日は曇り空で気温は高くないです。湿度が高くて暑いですが…。今週は最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、乗代 雄介『パパイヤ・ママイヤ』

わたしたちの、奇跡のような一夏の物語
17歳の夏、SNSで知り合ったパパイヤとママイヤは木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをして、初めて会った。アル中の父親が大嫌いなバレーボール部のパパイヤと、芸術家の母親に振り回されて育った、写真が好きなママイヤ。二人は流木が折り重なる”木の墓場”で週に一回会うようになり、心を通わせる。
そして、奇跡のような出会いは、二人の夏を特別なものに変えていく――「なりたい自分だって気がするんだよね、あんたといる時だけ」少女たちの儚くも輝かしい一夏を瑞々しい筆致で描く、新時代のガールミーツガール小説。                       -Amazonより引用-

 乗代さんの新刊は読まずにはいられない!ので、今回も読みました。
 パパが嫌いなパパイヤと、ママが嫌いなママイヤは、SNSで知り合い、お互いの家が5km以内の場所にあることを知って、木更津の小櫃川河口の干潟で待ち合わせをします。17歳の夏休み、何してたっけなあ?と懐かしく思い出してみても、絵を描いてたかもしれないのと、両親と3人で旅行に行ったこと、予備校の夏期講習に行ってみたくて申し込んで行ったこと、を思い出しました。通学途中の電車の中で友人と「17歳ってさ、もっとなんかなくない?セブンティーンだよ!」というようなことを、しょっちゅうしゃべっていたのが17歳の思い出かなあ。
 パパイヤとママイヤは、流木が折り重なる「木の墓場」に集まって夏を過ごします。こういうのいいなあ!と、ちょっとうらやましくなるような2人の交流を描いていて、乗代さんはどんなことでも物語にできるんじゃないかと思いました。


2、佐藤 友哉『青春とシリアルキラー』

ーーこの本は、なんだかわからないうちに人生をしくじった僕と、その周辺について書いたものである。
青春が終わっても人生は続く。若さゆえの生きづらさを描いてきた小説家が、新たな苦しみに直面した三十八歳から四十歳までの日々。web好評連載、待望の書籍化!                -Amazonより引用-

 生きづらい話を最近よく読んでいるような気がします。私は生きづらいんだろうか?今の状況はどうってことないと思っているのに、身体的にも精神的にもダメージを受けているのを自覚していて、はあ~とため息をついたりする今日この頃です。そんなわけで一体どんなことが書かれているんだろう?と興味を持って、読みました。
 冒頭から、面白い軽快な語り口に引き込まれて読み始めましたが、「シリアルキラー」というのは、連続殺人犯のことだと知らなかったので、気軽に読み始めてしまったけど大丈夫だろうか?と心配になりました。
 『青春とシリアルキラー』と『ドグマ34』の2編が収録されています。『青春とシリアルキラー』には、33個の項目があり面白い構造です。主人公は著者と同い年の小説家なので、私小説のような感じがするけどどうなのかな?と思っていたら、WEB連載中に読んだ方から「エッセイ」や「コラム」と間違えられるという話が書かれていました。著者は私小説だと思われることを意識して書いた小説だとおっしゃっていたので、私の読みは著者の意図に沿っていたということになるんでしょうか?『青春とシリアルキラー』は数年前に書いた小説の続編なのですが、その小説が後に収録されている『ドグマ34』です。20年以上前に起きた事件の現場を、著者と編集者が訪ねるという話です。発表するにあたって大幅に書き換えなければいけなくて、ファンタジーを入れたりもしたという、いわくのある小説だそうです。『ドグマ34』に描かれているエピソードや会話が、『青春とシリアルキラー』にもモチーフになって組み込まれているんだと、最後まで読んでからわかりました。


3、ブレイディみかこ『両手にトカレフ』

「ここではない世界」は、 今この場所から始まっていく――。 寒い冬の朝、14歳のミアは、短くなった制服のスカートを穿き、図書館の前に立っていた。そこで出合ったのは、カネコフミコの自伝。フミコは「別の世界」を見ることができる稀有な人だったという。本を夢中で読み進めるうち、ミアは同級生の誰よりもフミコが近くに感じられた。一方、学校では自分の重い現実を誰にも話してはいけないと思っていた。けれど、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれたことで、彼女の「世界」は少しずつ変わり始める――。               -Amazonより引用-

 気になっていたけど読めていなくて、ブレイディみかこさんの本を今回初めて読みました。
 主人公のミアはある日、図書館でカネコフミコの自伝と出合います。母親がアルコール依存症で家で寝ていて、弟の面倒を見ながら、いつも食べる物の心配をしないといけないミアは、同級生の誰よりもフミコを近くに感じられて、フミコの物語にのめり込みます。ミアが授業の課題で書いたリリックがきっかけで、同級生のウィルにラップのリリックを書いてほしいと頼まれて、ミアは一晩で大量のリリックを書いてウィルに渡します。どうなるのかワクワクして読みました。ミアが「別の世界」を見れますように。


 今週は「最近読んだ本の話」を書くことができました。読むペースは速くなったり遅くなったりを繰り返していて、今週はあまり読むのも書くのも進んでいません。週末で挽回できるかなあ。最後までお読みくださってありがとうございました。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?