見出し画像

最近読んだ本の話 vol.45

 「最近読んだ本の話」の第45弾です。一気に空気が冷たくなって紅葉が綺麗になってきました。最近読んだ本を3冊ご紹介します。


1、中島 空『境界のポラリス』

恵子は中国生まれ日本育ちの高校生。母と、母が再婚した日本人の父と三人で暮らしている。ある日、バイト先のコンビニでマナーの悪い客にからまれているところを、大学院で中国文学を学ぶ幸太郎に助けてもらう。彼は、埼玉県川口市にある日本語教室「青葉自主夜間中学」で、外国人の子どもたちに日本語を教えてもいるらしい。興味を持った恵子は、この教室を訪れるのだが……。
わたしは日本人? それとも中国人? 自身のアイデンティティに悩む主人公と、日本社会に溶けこむため、懸命に日本語を学ぶ中国やベトナム出身の同世代の子どもたち。日本で暮らす困難を共有しながら、友情をはぐくんでいく彼女たちの姿を感動的に描く! 異文化交流の難しさと大切さを伝える、第61回講談社児童文学新人賞佳作入選作品。     -Amazonより引用-

 日本で暮らし日本語しかしゃべれない私から見ると、外国で暮らして外国語を学びながら勉強したり、働いたりして生活するのってどれほど大変なことだろうと思います。主人公の恵子は中国生まれ日本育ちの高校生ですが、小学校の頃に嫌な経験をして、高校では中国生まれであることを隠していました。あるきっかけで日本語教室「青葉自主夜間中学」で日本語を教えるようになって、中国やベトナム出身の同世代の子達と仲良くなり、恵子はスピーチ大会に出場したいという中学生の楽花を手伝うことに決めて…。読んでいると自分も何かできることはないかとむずむずしてきます。


2、中島 京子『やさしい猫』

シングルマザーの保育士ミユキさんが心ひかれたのは、八歳年下の自動車整備士クマさん。
出会って、好きになって、この人とずっと一緒にいたいと願う。当たり前の幸せが奪われたのは、彼がスリランカ出身の外国人だったから。
大きな事件に見舞われた小さな家族を、暖かく見守るように描く長編小説。
                        -Amazonより引用-

 本を読む順番には意味があるのかもしれない、と時々思うことがあります。この物語も日本に住む外国人の方のお話です。主人公は9歳の女の子マヤちゃんで、マヤちゃんのお母さんのミユキさんはシングルマザーで、震災のボランティアに行った先で、スリランカ人のクマさんと出会います。偶然再会し、仲良くなっていき、とうとう結婚することになるのですが…。マヤちゃんの視点で数年間の家族の物語が描かれています。仕事とか在留資格とか色々な問題があって、日本で暮らす外国人の方は大変だということを、ほとんど知らずにいたことを申し訳なく思いました。クマさんとミユキさんは偽装結婚を疑われて配偶者ビザが取得できず、クマさんはオーバーステイで入管の施設に収容されてしまい、裁判をして勝ってようやく配偶者ビザが取得できます。よかったあ!とすっかり身近な知り合いのことのように思いました。


3、オルハン・パムク『パムクの文学講義: 直感の作家と自意識の作家』

直感と自意識のあいだを揺れながら書かれ、読まれる「小説」という言語芸術。そこでは実体験が想像とどう混じりあい、キャラクターがプロットや時間とどう組みあわされ、描写が絵画や博物館とどう結びついているのか。そして小説独自の「隠れた中心」の感覚とは何か。『わたしの名は赤』『雪』の作家が語る至高の読書論/創作論。        -Amazonより引用-

 「直感の作家と自意識の作家」というタイトルを見て、これはめっちゃ面白そう!と思い、読みました。小説を読む時に読み手はどういう状況になっているのか、などが克明に書かれてあって面白いです。書き手と読み手の両方のことが書かれてあり、自分が本を読んでいる時の状態を思い浮かべながら楽しく読みました。著者の小説も読みたくなりました。


 今週もなんとか「最近読んだ本の話」を書くことができました。読むのは間に合っていなくて分厚い本は読めません。早く思う存分読めるようになりたい!最後までお読みくださってありがとうございました。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?