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一緒に新人研修を受けていたハマモト君の話

社会人の方であれば多くの人が初めに通る道が「新人研修」だと思います。そこで社会人としての基礎を学ぶわけですが、そこでの出会いもまた、その後の自分にとって大きなものになる場合も多いと思います。

今日は私にとって大きな出会いとなった「ハマモト君(仮名)」の話をしたいと思います。

当時は理解しきれていなかった彼の感覚、物事の捉え方が自分の中で嚙み砕けたときに、自分としてもまた一歩成長することができた気がします。彼と出会えたことをよりプラスにするために、今日はそのことを文章にしていきたいと思います。

ハマモト君との出会い

私の会社は地方の会社で新入社員も毎年10人前後くらいですが、当時新人研修はグループ会社と合同の研修をしていた関係上、関西で100名規模での研修に参加していました。

新人研修は3か月間で1か月ずつ班が変わります。

同じ部屋だった彼は別グループでしたが、とても落ち着いて佇まいでスピーチや発言をしていて、「あっ、コイツ出来るやつだな…」と思っていました。しっかりしていそうに見えたんですね。

そんな中、5月からの班替えで彼と同じグループになりました。

細かいことはうろ覚えなのですが、なんやかんや結構仲良くなって、何回か飲みに行ったり、遊びに出かけたりした気がします。100人の同期の中で、同じ会社のメンバーを除いたら一番か二番目くらいに仲良かったかもしれません。

彼のやっていることが理解できなかった話

システムエンジニアの新人研修ということで5月からはプログラミング(java)を学びます。100人もいれば文系、理系関係なく入社しているので、一か月くらいかけてじっくり学んでいた気がします。

ハマモト君は文系だったか、少なくとも理系ではなく、プログラミングはほぼはじめまして状態でした。一方自分は理系出身であり、ゼミでゴリゴリやっていたわけではありませんでしたが、新人研修でやる基礎くらいの内容は理解しているつもりくらいのレベルでした。

そのため、自分を含めた理系のメンバーが、ハマモト君含めた理系以外の班のメンバーにレクチャーする場面も多くみられました。

そんな中で、プログラミングの練習問題中、ハマモト君から「これってどういう意味?どういう理屈でこういう結果になるの?」と聞かれました。

問題の答えというよりも、考え方が理解できていないようでした。そして自分が「これはこうこうこういう意味で…」と伝えたとき、

これがこーなってこっちにバーン!ってなるからこうなるんだね!」と言って手をたたきました。

「ん?うん。」

どこにバーン!の要素があったのか、まったくの疑問でした。その後も彼は謎の擬音やジェスチャーを駆使しながら理解を深めているような雰囲気を見せていました。

同じ班で受けていた研修の後半、私は自分の不明点をハマモト君に聞くようになっていました。一か月の間で知識レベルが逆転していたのです。

彼は何をしていたのか?

おそらく彼は、難しいことを理解するために、あえて擬音やジェスチャーなどを使いながら、自分が噛み砕けるまで思考していたのだと思います。

そして自分なりの解釈を音に表現したとき、バーン!になったのだと理解しています。その場で細かいところまでは理解できなくても、なんとなく、感覚的に理屈を理解したようでした。

私は部下に「わからないことは、自分の言葉で噛み砕けるようにならないと理解できたとは言えないよ。そこまでは思考してみなさい。」といいます。

一年目の最初のうちから、概要を感覚的に掴んで理解を深めるということが出来ていたんだろうなと思います。当時の自分はとりあえず紙に書きだしながら思考を整理することくらいしかできず、他の人がどう思考しているかまで頭が回っておらず、初対面の捉え方だったので驚いた記憶がありますが、「今ならよくできました!」と褒めてあげたいですね。

やりたいことは一緒だった

本質的には、「わからないことの大枠をつかみ、その上で細かい事柄を理解していく」というやりたいことは同じであって、そのアプローチの仕方が違うだけだったんだということに、後になって気づかされました。

擬音やジェスチャーを用いた思考法は私は使っていませんが、前述した思考の深め方については当時横で勉強させてもらいました。その考え方や、一か月で抜かれてしまった事実があったからこそ、やっぱり彼はすごいと尊敬しますし、彼の思考の深め方は今の自分にとっても基礎の一つとして強く土台を支えてくれています。

まとめ

物事を理解する思考の深め方として擬音とジェスチャーを使うハマモト君の話を書いてみました。

考え方や思考するときの進め方は人それぞれでいいと思いますが、自分なりの解釈をして、理解を深めることが出来るかどうかという点が非常に重要で、その点がハマモト君は非常にうまく、効率よく研修内容を吸収していったんだろうなと思います。

新しい捉え方に刺激され、自分としても視野を広げることが出来たように思います。今後も人との関わりの中で学びを得られたら良いなと思います。

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