自ら歩き出さないと夢は叶わぬ、と息子が教えてくれた話
あの可愛いお店に行ってみたい
「あのおみせ、なんのおみせ?」
保育園に車通園中のとき見かける可愛いお店。息子が気になって、私に質問してくる。
「なんだろうね〜」と私ははくらかしていたが、ある日うっかり「ケーキ屋さん」と口を滑らせてしまったのだ。
それからというものの、事あるごとに「ケーキやさんにいってみたいなぁ」と言うようになった。
3歳児と買い物=修行
「なにも、ケーキ屋ぐらい連れて行ってあげたらいいじゃない」と思う方もいるだろう。しかし、子どもの特性にもよるが3歳児と買い物=修行である。いくら「今日は何も買わないよ」と約束しても、息子は「これほしい〜!」とのたまってくるのだ。
買わなかったら最後、SEKAI NO OWARIよろしく、断末魔の泣き声と共に、床に転がるビチビチ生きの良いマグロ、もとい息子を抱えて帰らねばならぬ。これを修行と呼ばずして、何を修行と申すのか。
なんでもない日にケーキ屋へ車で行ったら最後、退園毎に「ケーキやにいきたい」と言われてしまうのではないか。そんな不安が私をケーキ屋から遠ざけた。
散歩中は俺のターン
とある休日、息子とお散歩に行くことにした。お散歩中は基本的に、息子が行きたいところを選んでもらう。最終的には、往復30分のコースになるように誘導する。
30分を超えると「あるけない〜だっこして〜」となるからだ。さすがに15kgになった息子を抱えて歩き続けるのは、キツくなってきた。だって軽自動車のタイヤ1つ分より重いし。
今日は様子がおかしい。いつものコースから外れている。まさか…
「ケーキやさんにいくの」
「ケーキ屋さんは遠いよ?!もしもケーキを買ったら、〇〇を抱っこして歩けないよ?!」
「いくの」
彼の意志は固かった。しかし、自宅からケーキ屋までは、歩いて往復すると50分以上はかかる。本当に大丈夫なんだろうか…。
ぐんぐん歩く息子。車で通ったことがある道を完璧に覚えていたらしく、迷わず進んでいく。途中で「コンビニに行こうか?」と誘ってみるものの、「ちがう」の一点張りだ。
ついに念願のケーキ屋までたどり着いた。
目をキラキラさせてショーケースにへばりつく息子を剥がす。
ショートケーキ、プリンアラモード、モンブラン…あまりの夢の情報量で選べなくなった息子の代わりに、私が食べられそうなケーキの候補をいくつかだした。あっ、ホールケーキはやめてください。帰りも徒歩だぞ。
無事?ケーキを手に入れた息子は、心配していた抱っこコールを口にせず、立派に50分歩きぬく。なんなら途中で鼻歌を歌ったりしている。
「おいしいね〜おいしいね〜!」
満足そうな息子の口と手には、勝利のクリームが輝いていた。
自ら歩き出さないと夢は叶わぬ
この日のできごとを、夫に話したら、
「そういえば〇〇、『ケーキやはあるいたらとおい?』って聞いてきたぞ」
と教えてくれた。
息子は前々からケーキ屋に行く計画を立てていたらしい。そして人も選んでいた。お父さんは公園で一緒に遊んでくれるけど、散歩は苦手。お母さんは公園では見守りが多いけど、散歩は付き合ってくれる。
あと、50分歩いたなか一度も「あるけない〜」と言わなかったのだ。おそらく、「あるけない」と言ったら、「だから言ったでしょ」と答えられるのが嫌だったのだろう。
車で連れて行ってもらえないなら、主導権の握れる散歩にしよう。
場所は覚えたから、いちおう距離も聞いておこう。
自分で決めたから、遠くても文句をいわずに歩こう。
3歳児の頭でそう思ったかどうかは定かではないが、息子が夢を叶えるべく自力で行動を起こしたことに感心した。
夢を叶えるには、自分で夢を叶えると決めて文句を言わず行動する。息子のシンプルな夢の叶え方に、私はできているだろうかと考えさせられるのだ。
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育児エッセイ書いてます。どちらかといえば、育児向いてないタイプの母親です。
2歳のころ、息子と散歩にいったときの話。
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