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ネコ対応の空間づくりについて

最近興味があるテーマが「ネコ対応の空間づくり」です。
私も勉強不足なので、勉強がてらペット対応の仕上についてまとめていきたいと思います。

なぜ、ネコか。と言いますと、私のまわりでネコの話題がすごく聞こえてきたからでして、ペットとしての犬への愛情と、ネコへの愛情は、また全然違うな、と感じております。ネコ愛が強い方々は、本当に、熱狂的な何かがあるように感じました。X(旧Twitter)でも、子猫を拾った方のツイートがバズっているのを見ましたが、ネコ・・・何かとてつもない力をもお持ちのようです



少しだけワンちゃんの話

ネコの話に入る前に、少しだけ犬のお話と、事例紹介をさせてください。

我が家にはビションフリーゼさん(犬)がいますが、家で犬を飼う際に気をつけることはそこまで多くなく、散歩をきちんとしてあげれば「床が滑りにくい仕上」「子犬のときはコンセント等のケーブルに注意」ぐらいかなと思っています。

我が家のビションさん

もちろん戸建て住宅であれば、「庭付き」「ドッグラン付」「土間エリア付」など、屋外と一体化するような空間があると尚良いですが、都心のマンション内に限っていうと、そこまで気を付ける点は多くないと思います。

山梨で設計した戸建て住宅では、床に磁器質タイルを採用しています。中型犬と一緒に暮らす家なのですが、脚がしっかりした子のため小型犬ほど床仕上の違いによる影響は少なさそうでした。実際には、ダイニング・リビングとエリアごとにカーペット等を敷いて脚への負担は減らしつつ、毛がものすごく抜け落ちるため掃除のことを考えるとタイルとして良かったと建て主と話をしていました。

山梨県の戸建て住宅 中型犬と暮らす 磁器質タイル床の家

当時は無垢フローリングも検討していましたが、無垢にしていたらすぐに傷だらけになってしまったと思います(傷だらけになった実際の話もよく聞きます)。カーペットは数年置きには取り換える前提で考えれば、家の保護とペット環境の保護との両立は「タイル+置きカーペット」で良かったと思います。

一方で、我が家のビジョンフリーゼさんは、ちょっとおバカさんでして、床が滑る場所でも「初動が大きい」という特徴を持っていまして、何か見つけて走ろうとしてしまい、初動で滑ってしまうというのを繰り返していました。。小型犬、中型犬、大型犬によっても動き方が違うので、床仕上の重要度は変わってきそうですが、都内マンションで買うような小型犬については、ペット対応床(すべり対応床)はとても重要だなと実感しています。


ペット対応の都内マンションを増やしていく

戸建てに住まわれている方は、自分の想いを反映させてつくるものですから、いろいろな選択肢の中からペットにもいい環境づくりを考えられている方は多いかと思います。

一方で、都心のマンションについていうと、フルリノベーションでもしない限り、基本的にはディベロッパーがつくった仕様の中に住んで、ペットもそこで暮らすということが前提になります。

mocAでは、賃貸マンション・共同住宅の設計をする機会が多々あるので、ネコ愛の強い方々向けとして、ペット対応可、ネコ対応可の空間づくりも計画に取り入れる提案をしていきたいなと思っているところです。

例えば「12室ある共同住宅だとしたら、2室はネコ対応の部屋になっています」というだけで、賃貸ニーズも高まり入居者付けもしやすくなり、ディベロッパー側にとっても、入居者にとってもメリットがあるのではないかと思っています。

街に多様な選択肢を与えることは、mocAの理念である「街や建築に物語を与え、人が生き生きとする環境づくりを目指す設計事務所です。」にもつながるところですので、積極的に提案していきたいと思っています。

もちろん、ディベロッパーにとっては不要なコストをかけることは望まれないことなので、最大限のパフォーマンスを発揮する仕上を選び、ネコにとってもプラスになるような合理的な提案ができるよう注力できればと思います。


さっそく、ネコ対応の仕上・製品を見てみる

01 まずは 床仕上

ネコフロア ヒノキ サンワカンパニー
「ヒノキは調湿機能が高く、樹種特有のやわらかさがあり、適度な弾力性があるため、着地の時の衝撃を和らげ猫が歩きやすいのが特長です。仕上げには、1972年創業、自然塗装のパイオニアであるドイツ老舗ブランドのリボスオイルを採用しています。」とのこと。

サンワカンパニーHPより https://www.sanwacompany.co.jp/shop/series/S0946/

こちらの商品は無垢材でお高めだと思われ勝ちですが、価格は7,980円~/㎡となっていたので、良心的な価格です。無垢材のためメンテナンスが気になるところですが、使用箇所を限定すれば採用も視野に入ります。

ちなみに設計単価は「当てにならない参考価格」でして、家電製品のオープン価格ぐらい信ぴょう性が少ない価格です。同じメーカーであっても掛け率がことなる商品が多々存在しますし、メーカーが違えば掛け率も変わってくるので、あくまで目安でしかないということで、ご認識ください。実際に一般的な賃貸マンションで使われているようなオレフィンシート張りの木調フローリングは、約4,000円/㎡ぐらいとなっており、そういう商品もHPで設計単価を見ると13,000円となっていたりします。

仕上が違えば、下地が変わるということもありますし、下地と合わせた値段はまた仕上材の価格とは変わってくるわけです。余談になりますが、建築の工事費の難しいところは、価格の不透明さ、下地などとの組み合わせの価格、などはっきりしたことは言えないような世界になっていたりします。

上記のネコフロアも実は、塗装は別途料金の可能性もあるので、採用の前にはさらなる下調べが必要になったりします。


ワンラブフロアV 大建工業
こちらはネコ専用というわけではないですが、小型犬の肉球を考慮して滑り抵抗を上げたフローリング商品です。防菌・防滑・傷がつきにくい商品です。設計単価は12,070円/㎡となっていますが、大建工業さんの商品は、実際の納品の際には大きく掛け率がかかってくるため、もう少し安くなると思いますが、採用を検討する際には具体の価格については確認が必要そうです。


ワンラブフロアV 大建工業
もうひとつ大建工業から出ている商品「ランラブオトユカ45Ⅳ」は、マンションの直床防音床材ですが、設計単価が¥20,760/㎡となっており、掛け率関係なく、少し高い部類の商品になりそうです。「直床」とはコンクリートに直接貼るタイプの仕上になりますが、マンションによっては床下げ+乾式2重床となっていないものもあり、そういうケースに採用するものです。


カナエル C防音45 Wフィット VC ノダ
同様の商品としてノダから出ているのがこちら。抗ウイルス剤配合で、ハードコートでキズが付きにくく、防滑塗料で滑りにくくしているという商品です。設計価格は¥12,303/m2となっており、掛け率も大きいと思われるので、採用の選択肢に入ってきます。ペット対応外の商品と比べて、柄・色の選択肢が減ってしまうのが難点ですが、十分使いこなしは可能です。



ボロン ADVAN
ADVANが輸入しているボロンという商品で、織物風の塩ビタイルです。織物風になっていますが塩ビタイルなので、ほつれたりすることもなく、キズも目立ちにくい、見た目はやわらかい印象があるということで共同住宅でも選択肢のひとつになると考えています。「適度なグリップ」「掃除が簡単」「クッション性」などの観点からもペットとの相性は良さそうです。設計単価は12,500円~/㎡となっており、掛け率は低いイメージです。

こちらの商品は、デザインとペット相性goodの両立ができるため、使う面積を絞って提案というのもあるかなと思っています。

BORON ナウを採用した事例  designed by mocA



02 次は キャットウォークなど

ねこルート・ねこボックス / ねこステップ / ねこシェルフ 大建工業
大建工業さんのホームページには、ねこ対応の商品をたくさん販売されています。ねこの特徴として「高いところから空間を見渡す」「安全地帯が好き」「ひなたぼっこが好き」という特徴があるそうですが、それに対応するのが下の3商品です。

「キャットウォーク」という言葉があるように高いところが好きなネコさんたちのための商品で、こういうものはまさに賃貸マンションでもすぐに取り入れが可能そうです。

ねこルート・ねこボックス
ねこステップ
ねこシェルフ

https://www.daiken.jp/buildingmaterials/pet/cat/

上記の他にも、ペットだけが通れる穴をドアに設けたり、壁に設けたりという仕掛けも考えられます。爪とぎのアイテムが売られたりしていますが、建物側として準備することはないか等、考えれば考えるほど奥が深そうです。

つめとぎアイテム



今回は、初歩的な情報収集ということで、既成の商品をざざっとみてみましたが、造作で考えればもっと多様なあり方が見つけられそうですね。また、ペット対応商品を採用する以外にも、例えばコンセントの位置は低い位置ではなく、高い位置で統一するなど、そういった工夫も必要かもしれません。

賃貸住宅では、ものすごくとんがった提案はしにくいので、合理的かつ魅力的な提案を見いだせるよう、研究を重ねていきたいと思います!

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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