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晴れの空。キリンの洗濯を思い出す

今日は少しあたたかい。

日差しや風が気持ちいいので、
部屋の換気をして布団を干した。

すがすがしい。

そういえば、
高階杞一さんのキリンの洗濯
という詩があったな。

子どもの頃、教科書か何かに載っていたのを覚えている。当時この詩を理解できずに終わったけど、大人になってもまだ理解できないままだ。

でも強烈な印象がある。

今こうやって書き起こしているのも、なぜかわたしの心にずっと残っていたからだ。

もし、わたしが何か文字を並べて書いたところで、こんな風に人の心に残すことはできなかっただろう。

詩人って、やっぱりプロなんだな。
改めて、プロとアマチュアの違いを知る。

「キリンの洗濯」

 二日に一度
 この部屋で キリンの洗濯をする
 キリンは首が長いので
 隠しても
 ついつい窓からはみでてしまう

 折りたためたらいいんだけれど
 傘や
 月日のように
 そうすれば
 大家さん
 に責められることもない
 生き物は飼わないようにって言ったでしょ 
 って言われ その度に
 同じ言い訳ばかりしなくたってすむ
 飼ってるんじゃなくて、つまり
 やってくるんです
 いつも 信じてはくれないけれど
 ほんとに やってくるんだ
 夜に
 どこからか
 洗ってくれろ洗ってくれろ
 と
 眠りかけた僕に
 言う

 だから
 二日に一度はキリンを干して
 家を出る
 天気のいい日は
 遠く離れた職場からでもそのキリンが見える
 窓から
 洗いたての首を突き出して
 じっと
 遠い所を見ているキリンが見える


馬場香織(ばばかおり)



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