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多様な家族と、制度と風土


多様な”かぞく”を考える 〜 選択的夫婦別姓・特別養子縁組・同性婚 〜というイベントを聴講しました。家族の新たなスタイルについて、サイボウズ社長の青野慶久さん、TBS報道局の久保田智子さん、Marriage For All Japan 代表理事の寺原真希子さん、東京レインボープライド共同代表理事の杉山文野さんのお話をお聴きしたのですが、印象的だった言葉は『制度ができても、風土は変わらない』というお話です。


ゲストのお話では、選択的夫婦別姓・特別養子縁組・同性婚を選ぶ方にとっては、それぞれが、家族としての信頼を考えるからこその選択であって、“伝統的家族観”を大切だと考える方とも、大切にしていることは同じであるということです。どちらが良い悪いということではなく、新しい伝統を加えていく、選択肢を増やしていくのだという考え方が印象的でした。

この点は、誤解されている方も少なくないのかもしれません。現在の制度が良くないから、新しい制度に作り替えようということに脅威を感じて、反対している方もいらっしゃるように思います。


法律ができたとしても、風土、つまり文化や価値観が急に変わるわけではなく、両方を変えていくことの大切さについても議論となっていました。そのために必要なのは、多様な考え方を持つ方々と丁寧に対話を重ねていくことなのです。


私自身も、地方出身であり、とても保守的な環境で育ったため、“伝統的家族観”に縛られていた経験を持ちます。血のつながり、子供を持つ、夫側の姓を名乗ることが良いものだという考え方は、それを経験してよかったと思う方にとってはスタンダードであって、異なる考え方を持つ方と接すると戸惑いを感じる場面を見聞きしてきました。異なる考え方を受け入れるまでには時間もかかるかもしれません。けれども、関りを続けることで、少しずつ変化も現れます。


5月3日の憲法記念碑、最高裁判所の大谷直人長官が以下の談話を発表しています。私たち一人一人も、新たな社会的問題に対して広い視野を持つことが大切なのでしょう。

「国民の価値観や家族観の多様化にともなって、同性婚や夫婦別姓を含め、家族をめぐる複雑困難な裁判や審判が増えている。裁判官は、新たな社会的な問題に対して、広い視野をもって対立する主張に耳を傾け、適切に判断することが求められている」(NHKニュースより)



参考:サイボウズ社長の青野慶久さん、TBS報道局の久保田智子さん、Marriage For All Japan 代表理事の寺原真希子さんの紹介記事