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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.88「ハマりたがる脳」

好きに理由はない。そう思っていた。けれど、それはただ単に「理由を知ろうとしなかっただけ」だと気づいた。

好みとは何なのか? 我々は本当は「何を」好んでいるのか? 科学の観点から徹底的に「好き嫌い」の謎に挑む。

好みとは、つまり期待と記憶のことなのだ。何かをたのしみにしているときでも、それを前回たのしんだときの記憶を振り返っている。パスカルが嘆いたように、「現在はわれわれの目的ではない」。過去と未来が私たちの思考を支配している。あるいはもっと簡単に、過去と未来は現在よりも長くつづくというのが真実だろう。
-第1章 何を召し上がりますか-

好みとは、期待と記憶のこと。そして、期待も記憶も簡単に変わる。ということは、好みも簡単に変わる。変わって当然だという前提があると、好みに対しての向き合い方もずいぶんと楽になる気がする。

こうして芸術に対する葛藤が生まれる。この作品が好きだ(好きにちがいない)と確信できないし、なぜ好きなのかを説明することもできないからだ(好きな絵もしくはきらいな絵について言葉で容易に表現できるかが、しばしば好きという気持ちを誘発する一因ともいわれている)。多くの人が評論家に対してわけもなく反感を抱く理由は、これを好きになれと指示されるのがいやだからというのもあるだろうが、それよりもなぜ好きなのかを彼らが雄弁と語れるのがおもしろくないからではないだろうか。
-第4章 なぜこれが好きだとわかるのか-

僕はよく「理屈っぽい」と言われることが多いのだけれど、それは理屈を説明できない人が理屈を説明できる人に対して抱くもどかしさみたいなものがあったのかもしれないと、ここの一説を見て思った(この解釈が理屈っぽい)。人は理屈ではなく感情で動くのは間違いないけれど、自分が感じている感情のメカニズムを言語化するのは意外と難しい。だからこそ訓練が必要であるし、それをもっともっと掘り下げて言語化できるようになりたいと思った。

好きに理由はある。その理由を説明できるようになる。新たなミッションが加わった。

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