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『友人の本棚~1分で読める感想文~』Vol.72「仕事に効く教養としての世界史」

歴史を学べ。これまで数えきれないほど、そう言われてきた。そのたびに、自分には関係ないから、興味がないからと逃げてきた。しかしここ最近は、どういう訳か歴史を学びたい欲求に駆られている。僕が歴史を求めているというよりも、歴史が僕を求めている気がする。お気づきかと思うが、勘違いだ。

ライフネット生命創業者で、現APU(立命館アジア太平洋大学)学長の出口さんが書かれた歴史書。もし僕と同じように歴史が苦手だけど学びたい、という想いを持たれている方がいらっしゃるとしたら、あとがきの引用をお届けしたい。

歴史を学ぶことが「仕事に効く」のは、仕事をしていくうえでの具体的なノウハウが得られる、といった意味ではありません。負け戦をニヤリと受け止められるような、骨太の知性を身につけてほしいという思いからでした。そのことはまた、多少の成功で舞い上がってしまうような幼さを捨ててほしいということでもありました。「自分が生まれる前のことについて無知でいることは、ずっと子どものままでいること」(キケロ)なのです。

耳がちぎれるほど痛い。僕はむしろ、ずっと子どものままでいいと思っていた。ずっと子どもでいたいと思っていた。大人になんてなりたくないと思っていた。でもそれは、間違っていた。大人の定義が間違っていた。大人になると、やりたいことが出来なくなると思っていた。でもそれは、やりたいことが出来ない大人だ。やりたいことが出来ている大人もいる。やりたいことだけをやれている大人もいる。むしろ、やりたいことをどんどん実現している大人もたくさんいる。子どものころにはできなかったことが、大人になればできることはたくさんある。だから、そういう大人になればいいのだ。

歴史を知った上でそう思うのと、歴史を知らずにそう思うのでは、生き方の重みが違うと感じる。今はどんなことでも真正面から受け止めたい。歴史を学ぶ時間も、自分にプレゼントしていこう。

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