さらやまきんにくん

文芸学科の二年生です。 noteで書くってよりかは、課題で書いた小説や雑文を投稿します。

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最近の記事

日本人がプリクラを愛する理由

 プリクラは私にとって、〆で食べる雑炊のようだ。 メインのお鍋を楽しみながら、頭の中では当たりまえに雑炊を待ち望んでいる。 そんな感じで、友人と遊んだら「プリ撮ろうよ」と、どこからともなく声があがる。  これがプリクラを撮る基本シチュエーションである。さらに他のパターンもある。 たとえば、初めて遊びにいった子と初プリ。 今日は特別な日だからと、いつもよりおめかししてパシャリ。 このように、いつもとは少し違うパターンで撮られた思い出は記憶に残りやすい。 一見、ただの紙切れだが

    • 将来の夢

      小さい頃から、やたらと書かされた題材。 この歳になってチャレンジしてみようと思う。 幼稚園の頃、短冊で書いた夢は「犬になりたい」だった。 なぜなら、動物の中で一番かわいい存在だったし、あの姿で駆け回ってみたいと思ったから。 笹に吊るされた願いが燃やされて天に昇っていくとき、翌朝犬に変身できている自分を想像した。1ミリはたぶんなれないんだろうなと思っていた。 小学生の頃、作文で書いた夢は「ヴァイオリニストになりたい」だった。 3歳のとき、パペットたちがクラシックを演

      • 酒を飲む朝

         二十歳になって三週間を迎える私は、いろいろなお酒を飲んでいる。 それは、女子層に向けた可愛らしい酎ハイであり 居酒屋で出てくる薄口のビールであり 熟練した手業でお刺身を切るおじさんの割烹屋の日本酒であり 度数高めの甘いマスカットの焼酎である。 誕生日を迎えて数日後に友人宅で開かれた飲み会では「まだ数週間だよね?慣れすぎじゃない?」とも言われた。  私は、二十歳になった瞬間から堰を切ったように酒を求めるようになった。 元々求めていたものなのだが、これでもゴールテープを切

        • Sweet moment.

           ミニスカートを履いたおっさんが、六畳一間で大の字で寝転んでいた。桃色のレーススカートからは、おびただしいすね毛の生足が現れている。  おっさんは疲弊していた。美中年お披露目公演まで一ヶ月を切ったにも関わらず、デビュー曲のダンスが覚えられないからだ。だが、肝は据わっているはずだ。かつては、西で一番の組長と恐れられていたじゃないか。こんなこと、人を殺すよりも簡単だ、と思い直し午後からのレッスンへと向かった。  練習室には、すでに先生と、メンバーの高橋さんと中川さんが来ていた

          肉痕

           彼女が私の頬を踏むとき、鼻腔には甘いクッキーの香りが拡がる。ふみ、ふみ、と心地よく刻まれるステップが、至上の目覚めへと誘う。  あなた、もう朝ですよ、はやくカリカリちょうだいよ、と唸り声をあげ、得意げな表情で見下ろしてくる女王。奴隷と化した私は、今日も女王を腕に抱き、キッチンへと向かう。  これが、私と飼い猫との毎朝のルーティン。  ある朝、彼女は甘い香りと共に、朝の日差しの中へと消えてしまった。  無機質な電子音が鼓膜に響き、目もやらず叩き殴る。寝ぼけた瞳には、カーテ

          自己不信と逃げからの脱出

          今までの自分と決別するキッカケとして 今からこのノートを書こうと思う。 現在18歳の高校3年生である私は、つい最近自分の人生から逃げ続けていた事に気づいた。 いや、本当はもっと前からその事実に気づいていたのかもしれない。 私はその気持ちからも逃げていたのだ。 それに気づいたキッカケは、私の苦手科目の英語にあった。 英語というのは中学の時から苦手意識があった。 ただ闇雲に英単語を覚え、授業で文法を教わっての繰り返し。 元々関心がある訳ではないので耳から耳へ通り過ぎていくた

          自己不信と逃げからの脱出