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素直になっておけばよかったと後悔した話。

それはそれは特別な人がいた。

セフレという言葉で済ますには勿体なくて、ただの友人でもない、かといって恋人ではなかった。


肩書きが「恋人」ではなかっただけ。

特別で、大切だった。



「縛られたくないんだよね」
「俺のせいで人間関係狭めてほしくないんだよね」
「きっと君は自分で狭めて苦しくなっちゃうでしょ?」

いつも彼はそう言っていた。

いわゆるメンヘラな私は、
この人の恋人になると、きっと私は束縛してしまう。
自分は切ったのになんでそうしてくれないの、ときっと怒ってしまう。
でもそれよりもなによりも、この人との関係に終わりを迎えたくない。
友達なら、終わりなんて来ない。

そう思った。
だから、このままがいいんだと言い聞かせた。

彼の転勤前の最後のデート。
合鍵を返してもらって、悲しくなった。

これから気軽に会えなくなるのだと。

繋がりが欲しくて、
「彼女にしてほしい」

喉まででかかった。

だけど、大切だし、失いたくないからこそ、
素直に、「付き合って欲しい」という言葉が言えなかった。

彼との関係を終わらせないために、私は「友人」を選んだ。


彼のインスタでちょくちょくやり取りをしていた。
何気なく会いたいという。

「ごめん彼女出来たからサシでは会えない」

転勤して1ヶ月ぐらいだった。

こっちにいる間、私以外いないっていってたのにね。
いたんだね。
その時点で、もう連絡はしなくなった。

ああ。あの時、終わりなんかを恐れずに彼女になりたいと言っていたら、未来は変わったんだろうか。

それとも遅かれ早かれ、どちらにせよ別れは来ていたのだろうか。

タラレバ話は、永遠と出てくるものだ。

彼とは結局、数ヵ月後に再会し、関係は復活する。
そして、こうなる。


彼は私の事をどう思っていたのだろうか。

そんな時に浮かんでくる。
「嫌いじゃないけど、彼女にするほど好きじゃない」
来世ではちゃんとしますの松田くんが、私のことどう思ってるの?というセフレからの問に対する答えである。

所詮は都合のいい女だったんだろな。


今でこそ、気持ちの整理は出来ているし未練はない。
思い出としてこうして書き綴っているだけ。

てか、サシでは会えないってなんだったんだ。

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