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餃子に白旗

餃子がとてつもなく美味しすぎる。
この世に餃子を食べたいという欲に勝てる欲はあるのだろうか、いやない。

夜になってもじんわりと暑い帰り道、
「あ‥餃子、食べたい」
となったら最後だ、もう逃れられない。

一度通り過ぎた「餃子の王将」にいそいそと戻り、テイクアウトの列に並ぶ。
同じようになんだかいそいそとしている人がいて、なんだか嬉しい。この人たちも餃子欲に突如やられてしまったに違いない、仲間だ。

ようやく自分の番が回ってきて迷わず餃子を頼むが、なんだかもう一歩いきたい。調子に乗ってるなぁと内省しつつも、調子に乗っかって肉ニラ炒め(実際は野菜炒め)も追加。
しめて775円。なんだかもったいない感じ、あと2円だったのに、など。



ほっかほかの餃子と野菜炒めを早歩きで持ち帰り、定位置につく。
帰りに買ったオールフリーを取り出すとだいぶ汗をかいていた。
グラスを冷やしてなかったから、待つ時間ももったいなくてそのままプシュ、溢れる。いつものことだが、いつになったらなおるのか。

まずはそのまま、一口目。

(‥!!)
声にならない。1人なので声を発することもあまりないけれど、それを押しても声にならない。

モッチモチの皮、むぎゅとして肉のうまみ。ぺろっといけてしまうのに、この小ささに包まれた存在感。
ふたくちで食べ終えて、オールフリーをぐびっと飲む。

(さいっっこう‥!)
私はビールが好きだけれど、ノンアルビールのさらりとした苦味も好きだ。
ビールと餃子は互いにぶつかって旨みを引き出している印象なのに対し、ノンアルビールと餃子の関係性はまたちょっと違うと思う。
輪郭をより際立たせてくれる感じ、優しさがある。
ビールと餃子が好敵手なら、ノンアルビールと餃子はサポーターという感じだ。
それぞれの関係性、それぞれにいい。

(もう一個、そのままでもいいかなぁ、いやしかし‥)
残る餃子は5つ。初手はいいとして、ここからは慎重に采配せねばならない。
なんたって餃子には無限の食べ方があるのだから。
とはいえ、久々の素の餃子を一個で我慢できるはずもなく、もう一個もそのままでいく。しかも今度は一口で。

(やばい‥)
破壊力が倍増、どころではない。まとまりとしての餃子がそのままくるので、おいしさの凝縮度が半端じゃない。
関係ないけど、ちゃんと噛んでるけど、魚を丸呑みする鳥の気持ちがちょっとわかった気がした。

残る4個のパターン、いかがなものか。
餃子のタレ、酢+胡椒、醤油+酢+ラー油、コチュジャン、わさび醤油‥

悩んでいても仕方がない、動かなければ変わらない。ということで、まずは餃子の王将特製のタレからいくことにした。

(はーーー、正解すぎる‥!)
そりゃそうだ、社内で選び抜かれてナンバー1!なタレなのだ。正解というか大正解というか、優勝に決まってる。
絶妙な酸味と醤油の香り、白ごはんを食べたくなっちゃう味だ。
食べれば食べるほど、もっと食べれてしまうような気がする餃子。
おいしくておそろしい、魔性である。

そのあと2個ともタレで食べて、最後の1個はすこしラー油を足して〆。

窓を開けていると、ほどよく暑くて涼しい気温なこと、小さめの音のロックメドレー、そしてすこしぬるいノンアルビールと餃子。
時間にしたらあっという間だけれど、ひとつひとつがゆるやかに、はまっていくような心地よさ。 

明日も、なんだかがんばろう。
ごちそうさまでした!

***
餃子に白旗な夏の夜でした。

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