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蘇我の娘の古事記 周防柳著

古事記は国つくりの話と出雲の大国主命との国譲りのところまでしか読まないかと思います。滅ぼされた蘇我入鹿の忘れ形見の娘、助けたのは天皇記、国記、の編纂に関わっている船史恵尺の息子そして父親は国記、を焼かれる建物の中から救い出した。乙巳の変[大化の改新]この時から物語が始まる知られていなかった娘コダマを密かに育てながら歴史書をつむぐ父史恵とコダマを守る兄であり後に夫になるヤマドリとの愛彼女を燃え盛る入鹿の屋敷から救い出したもう一人の兄オオタカ後に僧侶になり中国に渡って三蔵玄奘の弟子となり道昭と名乗ります。飛鳥や難波で繰り広げられる陰謀や戦乱に揺らぎながら河内で暮らします。そこでは語り部たちによって神話が語られる。そして大化の改新から四十年の月日の出来事に育ての父船史惠尺が火中から救い出した大王記に語り部が伝えてくれた古事を密かに育てられた入鹿の娘コダマがまとめる。この四十年間に天皇は皇極。幸徳、斉明。天智、弘文。天武。持統天皇。と七代を数え壬申の乱で終わる物語。蘇我の娘の古事記。惠尺も道昭も実在した人物。この一家の物語の間に挟んで語られる神話や言い伝えがとて良い繋がりで小説をつくっている。本書は語り部の所に色を変えています。これが大変効果があり先へと読み進めたくなる。日本の黎明に揺れる政変と日本の神話の数々と激動の時代を生きた女性の物語。面白く天皇の系譜や年号を調べながら読み楽しみました。







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