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就勝つ。

※このnoteは『私が「大勝ち」するまで1〜7』を読んだ後だとより楽しめます。多分。

就活中は、喉から手が出るほど欲しい内々定。
だけどもらってしまえば、その快感と喜びはほんの一瞬だ。
3日後にはもう、
「ああそうか、社会人になるのか。働くのか。めんどいなあ。」
って気持ちに切り替わってしまう。
内々定の歓喜はもって3日から1週間ってとこだ。

私もそうだった。
『バカでか大企業』から内々定をもらい、就活の勝組、人生の勝者となった後3日はその余韻に浸った。
テレビで内定先のCMが流れるたびに、
「うおー、ここで働けんだなあ」
なんて感動していた。
就活中封印していたSNSを解禁し、まだ黒髪の友達や知り合いを見ては、やっぱり私は就活で勝ったんだな、と心の中で思っていた。
我ながらクソだ。
髪を染めて、70社分くらいの企業からもらったパンフレットや資料を処分して、朝遅く起きて一日中好きなことをして過ごし、夜遅く寝た。
3日はそれで満足だった。

その後すぐに、内定者懇親会があった。
対面では無理だからオンラインで、だったが。
どんな賢い人たちがいるんだろう。
どんな面白い考えを持った人たちがいるんだろう。
そんな期待を胸に画面に向かった。

だが、その期待は呆気なく消えて、
絶望に変わった。

画面の向こうにいたのは、
賢いやつでも、面白い考えを持ったやつでも、大志を抱いたやつでも、真面目なやつでも、誰でもなかった。

ただの『勝ち組』だった。

私がなりたくてなりたくて仕方なかった、
だけど、世界で一番憎んでいた、
『勝ち組』あるいは『陽キャ』
そのものだった。
画面の向こう側で、奴らは、自分のクソどうでもいい自慢話や、学生時代には遊んでいた話、酒でやらかした話、彼女と別れた話、
一体誰がそんなことを聞きたいんだ、というくらい下らない話を延々と語っていた。
当たったメンバーが悪かったのだと思った。
だが、その後開かれた複数回とも、そういう奴は現れた。
その後、内定者のLINEグループができた。
誰も求めていないのに、次々と貼られていく、一部の知り合いのみで集まって遊んだ時の写真や、オンライン飲みをしている写真。
高校の、大学の、あの、誰が作るのか知らないが、入学前は自己紹介とかして盛り上がるけど、入学後は全く動かなくなる学校全体のグループLINEを思い出した。
「同期最高!」
「みんな大好き!」

なんだそれ。
ばかじゃねえの。
ほざくなよ。

『バカでか大企業』に入れば、
優秀で賢くて、尊敬しあえるような仲間と出会えると思っていた。
『バカでか大企業』に入れば、
自分と似たような価値観を持った人間に沢山出会えると思っていた。
『バカでか大企業』に入れば、
今まで、好きなように、やりたいように生きてふるまってきた勝ち組共を見返してやれると思っていた。

だけど、実際、そこにいたのは、
私と同じように、
「面接官の前でハッタリをかます力」に長けていただけの、何十人の、くそみたいな大学生だった。

しょうもない、ただの、好きなようにやりたいように、他者の恩恵を受けながらぬくぬくと育ってきたバカみたいな、私が大嫌いな『勝ち組』だけだった。

私は『勝ち組』を見返すどころか、
今までは無視さえしていればよかった奴らの存在を、
今度は、会社の中で、明確に、意識して生きなければならなくなった。
同期、として、上から下から、比べられなければいけなくなった。

どの高校に入ろうが、どの大学に入ろうが、どんなでかい企業に入ろうが、
結局私は『勝ち組』からは逃げられないし、
『陽キャ』にはなれない。
あいつらに勝つこともない。
『勝ったことがない人生を送ってきた』
その私のままだ。

『就活で勝って勝ち組を見返す』

『大企業に入る』

最初に書いた私の目標は、こうして幕を閉じた。
達成したようで、達成していない。
行きたかった大企業には入った。
でも勝ち組、陽キャを見返してはいない。
学生時代に嫌いだった、勝ち組や陽キャは、
私より全然小さい企業に決まって、そこのキラキラした同期と、
それはそれは楽しそうに交流を深めているらしい。

本当に就活に勝ったのは、私ではない。

大小なんて関係ない。
行きたかった企業に入って、
気の合う仲間、似たような仲間をみつけ、
きっとこれから充実した社会人生活を送っていくであろう、彼らだ。

最初から最後まで、
『勝ち負け』『陽キャ陰キャ』を意識して、
向こうには私の存在なんて見えてもいないのに、
勝手に張り合って、
勝手に勝った気になって、
「どうだ?すごいだろ?」って振り返ったときにはもう、
彼らは別の『勝ち』を手に入れてる。
私はまた、別のフィールドで、
『勝ち組』『陽キャ』と対峙していかなければならない。馬鹿みたいに自分の中で。

昇進?
昇給?

次は、何で、勝てばいいんだろうか。

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最後まで読んでくださった皆さんへ
そしてこれから就活をする皆さんへ

長いのにここまで読んでくださってありがとうございました。
また、『私が「大勝ち」するまで。』から読んでくださった方。本当にありがとうございます。ずっと読みにくい文章ですみませんでした。

就職活動では、大手に入ることがすごいこと、就活での勝ち、ベンチャーや中小企業なんて逃げだ、という風潮が、今のこのご時世でもまだ存在します。
そして、そう考えている学生も多いことかと思います。
私も、ずっとそう思っていました。だから、就活で勝つために、人生の勝ち組を見返すために、必死で努力して大企業の切符を勝ち取りました。

確かに皆んなが知っているような大きい会社に入れば、家族親戚友人、その他さまざまな知り合いからは、すごい、と言ってもらえます。

でも、それが「就活の勝ち」かといえば、そうではないと、私は身をもって感じました。

すごい、と言ってもらえるのはその時だけです。
学生として、就活生として、その大きい会社の名前をいう。相手にすごいと思ってもらえるのは、その時だけなんです。
これから会社に入って、辛い辛い楽しい辛い、くらいの割合で必死に働いて、次に、すごい、と言ってもらえるのは、一体いつでしょうか。
どこに入るかじゃない、そこに入って何をするかだ、とは、まさしくこのことですわ。

新卒で入った社員のうち、7割近くが「就活をやり直したい」と、思っているそうです。
これから就活をするみなさんが、どうか、私みたいに妬み嫉み恨みに身を任せるのではなく(そんな人は少ないと思いますが)、そして企業の大小関係なく、自分が1番、生きやすいと思える場所をみつけられることを、心から願っております。

私は、自分のやってきた就活が後悔に変わらないように、なんとか来年から社会人として、生き抜いて行こうと思います。

長くなりましたが、ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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