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セーラー服

空が青く澄み、風が凪いでいる
ようやく訪れた秋晴れのようだった
こんな爽やかな日には髪を切りたい
唐突にそう思い渋谷にある美容院を予約した

学校が終わって友達と別れる
少し混雑した電車に乗り込み私は渋谷で降りた

予約した時間まではまだしばらくある
どこかで暇をつぶすことにした

「名曲喫茶ライオン」

一度行ってみたかったところだ
どうやら撮影禁止の場所で室内はベールに包まれている

場所もわからないのでスマホの道案内に従うことにした

私はかなりの方向音痴で何度も逆方向に行ったり戻ったりを繰り返した

道行く人を観察しながら歩いていると、あることに気づいた

なんだか今日の渋谷は浮ついている

お祭りの前日のようだった

お祭りの前日、、、

不思議な格好でうろつく若者
大荷物を持ったメイドさん

ああ、今日は10月30日
ハロウィン前日だった

そんなことはさておき
段々と目的地に近づいてきた

路地裏に行くと渋谷とは思えない人数になった

そのときひとりの少女が目に入った

少女、、なのか?
凄く違和感がある

セーラー服を着た少女だった

後ろ姿しか見ることはできなかったがハッキリと感じる違和感

高校を卒業した女たちがコスプレをしてかの有名なテーマパークに行くような

まあハロウィン前日だしな、と思って特に何も思わなかった

だが

どうしてそんな人気のないところに行く?
今歩いている道は私とあの違和感JKだけである

私だったら人だかりの中を闊歩したりプリクラを撮ったりするだろう

好奇心

すこしだけ後を追いかけてみることにした

彼女はなんだかキョロキョロしている

私もなんだかキョロキョロしてみる

角を曲がったときある建物が見えた

周りの風景に溶け込むことのない華やかな装飾の建物

レスト
ステイ

と書かれた料金表


そこで全てを察した私は彼女と別れるように違う路地へと抜けていった

全ての道を把握しているかのように早足だった

異空間から抜けたと感じたところでお目当ての喫茶店を見つけた

撮影禁止と書かれたドアを恐る恐る開けた途端

壮大なクラシックが耳を貫いた

驚いて私はとっさにドアを閉じてしまった

また、次にしよう


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