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休学した1年間をふり返る❶〜なぜ休学したのか〜

はじめに

昨年2021年5月より始めた1年の休学ですが、6月30日をもってその休学期間を終えてカナダに戻ることになりました。

休学していた1年は、日本で過ごしていましたが、SNSをほとんど更新しないので、一部を除いたほとんどの友人からは、「どこにいるのか分からないやつ」だと思われていた(る)ことでしょう。

1年で私の見ている世界は目まぐるしく変化しました。
それまでアカデミアで一生生きていこうと思っていた人間が、突然ビジネスの世界に足を踏み入れたわけですから。(そのあたりの詳しい話は後述。)

ということで、忘れないうちにこの1年をふりかえってみます。

なぜ休学するに至ったのか


この問いに対して端的に答えると、
「学問は実践できるのだと確かめたかったから。」となるでしょう。

それまでの私は、クィアスタディーズ x 宗教の領域で、研究の道で生きていこうとしていました。それは学問を通じて、「日本社会を公平かつインクルーシブにしていきたいから」(←シンプルに言うとこんな感じ)。
Masterを真剣に考えていたし、PhDも考えていました。その先は研究一筋なのか、もしくは大学で教鞭を取るかなあ、なんてぼんやり考えていたわけです。

しかし大学3年生の途中から、学問に対してある2つの疑問を抱くようになりました。
1つ目の疑問】 アカデミアを取り巻く情報の非対称性
人文科学の領域において研究となると、論文を書いて学会で発表することがメインになると思います。

しかし、論文や学会にアクセスできる人は限られているように思えます。仮に「公平性の高い社会はこうやって実現していける」と研究を通じて提示したとして、その論文をどれだけの人が読む or 読もうと思うのか、とふと疑問に思ったわけです。もちろん同じ問題を共有する層や学者層には届くかもしれませんが、アカデミアに縁のない大多数の人々には届かないのでは…?

ナレッジがアカデミアのみに蓄積されていく傾向に違和感を抱き始めました。

2つ目の疑問】 ジェンダー学の思想と理論は「机上の空論」なのか。
大学3年生になり、ジェンダー学の中でも、クィアスタディーズ x 宗教というよりnicheな領域に足を踏み入れて、様々な論文を読んだり、学会に出席してみたり、毎回の授業で議論をしたりする中で、「どのような社会がユートピアなのか」というディスカッションが先行しているような気がしていました。実際に実社会で「どのように実装するのか」という、より実践的な点について議論が少ないという違和感を持つようになりました。

そこで抱いた疑問は、「ジェンダー学で学んできた理論や思想は、本当に実社会で応用可能なのか」ということ。

この疑問は単なるQuestionではなく、大学の3年間とこれからの自分の人生をかけようとしていた学問が、社会変革に"大きな意味を持たない"かもしれない、という不安(Anxiety)でもあったといえます。

これらの2つの疑問から、
・まずはアカデミアを飛び出してビジネスの世界に足を踏み入れてみよう、
・ビジネスにおけるダイバーシティ&インクルージョン(D&I)に携わることでジェンダー学の知見の応用性を検証しよう、
という選択肢を導き出しました。

そんな時に運よく見つけたのが、今のインターン先の求人でした。企業向けD&Iコンサルを開発・提供したり、LGBTQ+フレンドリー求人サイトの運営をしたりしている日本のスタートアップです。

今でも覚えているのは、朝5時(EST)にインターンシップの求人を見つけ、「これだ!」と思い、2時間で志望動機を書き上げ応募したこと。
その後、メッセージをもらい、面接をしました。
初めての日本語のジョブ面接では、なかなか上手く話せず、手応えは最悪だったので「落ちただろうなあ。まあ、でも落ちても失うものはないからいっか」くらいに思っていました。

なので、2週間後くらいに採用通知を受け取った時の最初のリアクションは、「😳 I?」でした笑。
そんなこんなでインターンシップを始めることになったのです。

実を言うと、インターンシップを始めた当初は、休学するつもりはなく、夏休みの4ヶ月くらいかなあなんて思っていました。(そのように面接の時にも伝えていました)しかし、インターンシップ開始前の最終意思確認で1つのプロジェクトを任されたことをきっかけに、それを軌道に乗せるまではやり切ろうと思い、その後休学を決意しました。

大学休学のハードルについて

休学をしている、という話をすると、「勇気ある決断をした」というように評されることが少なからずあります。しかし実のところ、決断に必要な勇気は限りなくゼロに近かったような気がします。

それは、休学期間中にすることが明確だったこと、休学の理由がポジティブだったからということももちろんありますが、カナダの大学における休学のしやすさも大きな理由のひとつでしょう。

具体的には、
私の大学では休学届は不要、休学中の学費の支払いも不要。
そもそも「学年」という概念がないので、新学期に履修登録さえしなければ勝手に休学扱いになります。
さらに、実際に何人も休学をした学生を知っていましたし、4年で卒業する学生は全体の約50%というデータもあります。休学が大学生活の身近な選択肢のひとつだったのが幸運だったなと思っています😊

さて、休学に至った背景を長々と書いていたら、ほんとに長くなったので(まさかの2,400字笑。これでも削った)、休学中に何をしていたか、については次のnoteで。

追伸:
普段、特定の事象や問題に対する「意見」や「分析」を書くことはあるものの、なんの分析道具も使わず淡々と自分を振り返る文章を書くのはほぼ初めてだったので、何とも拙い文章になっていますが、そこら辺には大目に見てね。




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