見出し画像

通信キャリアの市場動向と各社の挑戦【2023年通信シェア・満足度セミナー Vol.1】

2023年11月18日に開催した「2023年秋の最新通信シェア・満足度とポートIN、ポートOUT」のセミナーをもとに、最新の通信サービスのデータや業界についてお話していきます。通信サービスのユーザー動向が分かる内容となっておりますので、ぜひご活用ください。

調査結果をMMD研究所に公開しておりますので、あわせてこちらもご覧ください。

2023年9月MNOのシェア・満足度調査
2023年9月MVNOのシェア・満足度調査
2023年9月通信サービスの料金と容量に関する実態調査
2023年9月スマートフォンOSシェア調査

▼連載コラム
Vol.1 通信キャリアの市場動向と各社の挑戦
Vol.2 新しい顧客層を引きつける通信キャリアの戦略
Vol.3 ARPU増加への戦略と市場影響
Vol.4 今後の新規獲得とリテンションの鍵


各通信キャリアの現状

NTTドコモ

OCN モバイル ONEがNTTドコモに吸収され、新しく「irumo」と「eximo」が作られました。NTTドコモでとくに流出の激しかった部分が小容量帯で、その帯域は競合が非常に強く、改めてブランドとして統一させていったというのが背景でしょう。
 
モバイル通信サービスの収入は減少していますが、コスト効率が改善され、コンシューマー領域で増収しています。

KDDI

新しく「au マネ活プラン」が作られました。こちらは金融領域と組み合わせたプランで、新しい動きになります。
 
楽天モバイルのローミング収入が大きく下がりましたが、マルチブランドで通信の収入がプラスとなりました。auの本ブランドよりは、サブブランドであるUQ mobileがけん引しているのではないかと考えています。

ソフトバンク

新しく「ペイトク」が作られました。KDDI同様、金融領域と組み合わせたプランです。PayPayの顧客基盤をモバイルに転換して相乗効果を高めていくのだと思います。
 
円安や投資ファンドの業績悪化などから収入面はずっとマイナスでしたが、減少の幅が少なくなってきています。

楽天

契約500万回線を突破し、0円を廃止してからARPUはあがっております。楽天モバイルの黒字化ができるかが注目ポイントですが、プラチナバンド獲得が起爆剤となっていくのではないかと予想しています。
 
2026年後半までにはプラチナバントが整備され、早ければ来年度から提供されるでしょう。
 
 
各社さまざま動いておりますが、金融領域とのセットという形が主要になってくるかと思います。来年度には新NISAが始まることから、とくに証券や銀行などの金融領域まわりはしっかり見ていきたい部分です。このあたりはSBI証券や楽天証券が非常に強いため、他キャリアの動きが激しくなっていくでしょう。

大手3キャリア本ブランドに迫る格安ブランド

各キャリアの振り返りをしたところで、最新の通信サービス動向を調査結果から見ていきましょう。

こちらの調査は年に2回行っているものになりますが、半年ではメイン回線・サブ回線のサービスシェアは劇的に変わりません。ただ、変化があったところとしてサブ回線の利用者が増えています。2023年2月の調査では9.0%に対し、2023年9月では11.3%と2.2ポイント上昇となりました。
 
今後どれぐらいサブ回線が増えるのか、MNO、MVNOそれぞれのプラン内容、法人の部分など、来年見ていきたいと思います。

次に4キャリアに絞って見てみましょう。
 
メイン回線全体では、MNO4キャリアのグループが引き続き9割以上占めております。国からの流動性を高めていきたいという動きはありつつも、変化はないですね。
ただ内訳を見ると、本ブランドが下がって、オンライン専用プランやキャリアサブブランドが伸びています。
 
2023年2月からあまり変化がないように見えているサービスもありますが、メイン回線全体を100%と見たときの割合はY!mobileやUQ mobileが非常に伸びているため、大手4キャリアは伸びていても分かりにくい推移になっています。
 
さて、大手4キャリアの寡占市場に変化はありませんが、ユーザー側では格安ブランドに対して変化が起こっています。

ここからは2023年2月の調査までの抜粋となりますが、一番下のMVNOから順にUQ mobile、楽天モバイル、Y!mobile、オンライン専用プランと足していくと、価格が安い通信サービスだけで42.7%となりました。

ユーザー側から見た格安ブランドは、3キャリアの本ブランドに対してかなり肉薄する状態になってきています。

2年後頃になると、もしかしたら3キャリアの本ブランドと格安ブランドのシェアが入れ替わる可能性があるかもしれません。



MMDLabo株式会社
通信・端末・決済などモバイルやIT分野のマーケティングレポートでは国内最大規模の調査機関です。
モバイルインターネットで生まれる新しい体験を調査・分析し、価値ある情報を発信することでモバイルインターネット業界の発展に貢献します。

MMD研究所
2006年9月より運営しており、700件以上の調査データを通じてモバイルユーザーの消費行動や実態を発信しています。