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宴の儀式【Ep. 5】


宴に招かれる

バス旅行の会は、このマンションで長く続いているらしく
主に行程や段取りを仕切ってくれているのは管理人の川中さん。

バス旅行の会には長を務める九十九(仮)さんと外人レッスン
してくださった副長の大山さんが運営部にいらっしゃる。

今夜は、改めて私たちの自己紹介などを含めた宴を、大山さんが企画
してくださったんだという。

飲むことが楽しみ

ご招待に預かり、おじゃましたのは大山さんのお宅。奥さんはお料理がお好きなようで、お刺身や小鉢ものなど豪華な料理が並んでいた。

年齢で言えば管理人の川中さんを除いては皆さん私の親世代の方々。
そして、飲むことが楽しみの種類の大人達でもある。

私は、まったくお酒もビールも飲まないし、甘めのチューハイも
すぐに顔があかくなるから滅多にのまない。

苦手な質問

国際結婚、まだ定年には20年早い、僻地のマンション。
今夜は、私たちの生活ネタを酒のさかなに飲むんですね。

「どうやって知り合ったの?」
「なんでここに住むことになった?」
「若いのに何してるのこんな僻地で」
「またアメリカに帰るの?」
「日本語勉強してるの?」

好奇心とお酒の勢いも借りて、質問が爆発。
優しい主人は、ちょっと抵抗があったものの
およばれに来てるんだし。というマナーで
楽しそうに答えてた。
ここまでで、私は結構アップアップの状態だった。

そこで一つ気が付いたのは、質問攻めにしてくるのは、大山さんご夫妻のみ。九十九さんご夫婦や管理人の川中さんは話を聞くばかり。

私は、アメリカに渡る前も特殊な仕事環境にいたからか、ご近所付き合いとか、コミュニティとかに参加してこなかった。普通の社会人と飲み会をしたら、こういうことになるのだろうかと疑問がよぎった。

私にはこの宴が苦痛な時間になりつつあった。友人にこの飲み会のことを話したら、「ふつうはそうでしょ」とさらっと言われた。
こんな質問攻めの飲み会にたびたび参加するのは相当疲れるだろうな、と
この時から嫌な予感がしていた。

大山さんご夫婦の興味本位からくる?質問やアドバイスは、この後だんだん高圧的になり、私たちとの関係が険悪になっていくのでした。

この続きは次のエピソードで。



"Excellent choice, folks!"