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でも、だけど。

Against All GRAVITY
すべての重力に対峙する

今回のツアータイトル、とてもしっくりきた。
なぜそう感じたのか、考える。

※以下、一部ネタバレを含みます※

例えば誰かひとりの命と
引き換えに世界を救えるとして
僕は誰かが名乗り出るのを
待っているだけの男だ

愛すべきたくさんの人達が
僕を臆病者に変えてしまったんだ

小さい頃に身ぶり手振りを真似て見せた
憧れになろうだなんて大それた気持ちはない

わたしが初めてまともに聴いた彼らの曲だ。
例え話から始まる、主人公の独白。
自分が特別な存在ではなく、「その他大勢」の中のひとりであることをどうしようもなく知っている。
何者でもない自分、そのことにもっともらしい理由をつける自分、理想を語るのを恥じる自分。

でも
ヒーローになりたい
ただひとり 君にとっての

彼らの曲の歌詞は、人間の、わたしの、しょうもなさや弱さ、器の小ささをあらわにする。

月並みな言い方になるが、
人生、本当にいろんなことがある。
良くも悪くも、
笑ってしまうような、
涙がとまらなくなるような、
その場から一歩も動けなくなるような、
いろんなことが、ある。

でも、だけど。

彼らは続ける。
本当は正しくありたい、できるなら強くありたい、否応なくやってくるそれらを受け止め、受け入れられる人間でいたい。

彼らの音は、地面から響く。
地面をとらえ、踏みしめながら、次の一歩へ、次の跳躍へ、力を込める。

一足とびで要領よく進んで行く人もいるなかで、
いつも、どこにいても、着実に歩を進める。

醜く汚い部分から目をそらさず、そのうえで清く美しいものへと手を伸ばし続ける。

たまに無頓着な言葉で汚し合って
互いの未熟さに嫌気がさす

でも

いつかは裸になり甘い体温に触れて
優しさを見せつけ合う
みっともない

けど

すべてが愛しいよ
誰かを思いやりゃ仇になり
自分の胸に突き刺さる

だけど

あるがままの心で生きようと願うから
信じていれば夢は叶うだなんて
口が裂けても言えない

でも

信じてなければ成し得ないことが
きっと何処かで僕らの訪れを待っている
入り組んでる関係の中で
いつも帳尻合わせる

けど

Ah 君は君のままに
静かな暮らしの中で
的には風に身を任せるのもいいじゃない
そこにあることで誰かが
特別喜ぶでもない

でも

僕が放つ明かりで
君の足下を照らして見せるよ
意味もなく走ってた
いつだって必死だったな
昔の僕を恨めしく懐かしくも思う

でも

皮膚呼吸して無我夢中で体中に取り入れた
微かな酸素が今の僕を作ってる
そう信じたい

彼らはわたしとは違う道で、少し前を歩いている。

同じ道ではない。同じ道はない。
僕らだって、躓いたり立ち止まったりする。
でも、また進み始める。
それを誰かに押し付けることなく、彼らははそうする。

さあ、あなたは、どうするのか。
あなたは、これから。

わたしは、どうするのか。
わたしは、これから。

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