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試験問題の小説 about books no.1

朝刊に2日続けて『大学入学共通テストの問題』が掲載された。
昨日は国語が載っていたので、小説だけを読んだ。
大学に限らず高校の入試問題も、掲載されていれば物語だけを読む。
問題を解くわけではなく、あくまでも作品の一部として。
もうずっと前からの習慣だと思う。
気が向けば、たまに問題もやってみるけれど、それが目的じゃない。

入試問題はけっこう良い作品が使われていて、ここで初めて知ることもある。面白いと他の作品も読んでみる。1冊、2冊の時もあれば、短編の一作品だけで終わることも。
読書の面白さのひとつは、出会いだと思う。
今年の問題もそのひとつだった。

『庭の男』 黒井千次・著 1991年発行

定年後の男の話で、けっこう面白い。当然、全文は掲載されていないので本を探すことに。多分、短編集だろうなあ‥と、あたりをつけながら。
『嘘吐き』というタイトルで新潮社から、1995年に出版されていた。
図書館の書庫にあった。所蔵数は一冊だけで、現状は貸出中。次の予約はなかったので、それほど待たなくても良さそうだ。
もしかしたら、今借りている人も、私と同じ理由かもしれないと、ふと想った。

似たような考えの人は、けっこういる。
昨日の時点で行動すれば、すでにこの本が手もとにあってもおかしくない。
朝刊で掲載された問題を読んで、すぐにネットで所蔵の図書館を調べ、出向いて借りればいいのだから。でも、すごい行動力の持ち主だと思う。
それとも別の理由で、もっと前から借りていたのかもしれない。
どちらにしてもこの本は、開架されていない。リクエストして取り寄せるか、所蔵館まで足を運んで書庫から出してもらうか、そのどちらかになる。
図書館の本棚で偶然見かけて借りた本ではない。
知らない人なのに、不思議な親近感を覚える。

どんな本を読むの? と、訊かれることがある。
どうやって選んでるの? とか。
この問いの答えは、どちらも難しい。
好きなジャンルなんて特にないし、選ぶ基準もないからだ。

一冊読めば、次の本が何となく見えてくる。
読むことによって次の本がおのずと見つかる、みたいな感じ。
もちろん、それだけじゃない。
新聞の書評や紹介記事、出版社の新刊広告とかで、興味を持つこともある。
偶然、立ち寄った書店でタイトルに惹かれて買ってしまうことだってある。
図書館で物色していて、突如見つけてしまうことも。これは、ものすごく得をしたような気分になる。
気に入った作品の著者の本を、ぜんぶ読むことだって何度もあった。
その著者たちとの出会いも、最初は偶然でしかなかったと思う。
偶然が二つ重なると、それは必然だったことになるらしい。
これも何かの本で読んだ気がするが、タイトルも著者も覚えていない‥


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