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犬と猫と人間と

先日、読んだ本の中に犬が登場した。
ジャーマン・シェパードのオスで、名前はトラウム。
あまりにも魅力的な犬だったので、帰省中の娘にトラウムのことを話した。
すると彼女はちょっと面白いことを言った。
犬が好きな人と、猫が好きな人は、根本的に違うんだよね、と。
彼女の持論ではなく、某テレビ局のプロデューサーから聞いた話らしい。
番組制作のため、猫好きと犬好きを調査すると、ひとつの傾向があることがわかったそうだ。
猫が好きの人は、自分が飼っている猫に限らず猫全般が好き。
一方、犬が好きな人は、自分の飼っている犬が好きで、犬全般が好きではなさそう。
結果、猫好きの人は、猫の番組を視聴する可能性大だが、犬好きの人は、犬の番組をそれほど視聴しないのではないかと。

そうかなあ? 私は些か疑問だった。

うちのお父さんはどうなるの?(私の父のこと)
彼は犬が好きで、ずっと犬を飼っていたけれど、よその犬も好きだった。
おじいちゃん(私の父のこと)は別だよ、と娘。
彼女が言うには、父は犬好きじゃなくて、動物好きらしい。
動物好きの人は、犬好きと全然違うと言うのだ。
確かに父は、犬に限らず、猫も好きだった。
父が帰宅する時間になると、当時、私が飼っていた猫は、いつも玄関で出迎えた。
父は目を細め、猫の頭を撫でながら声をかけ、肩にのせた。
犬猫に限らず、鳥や虫も好きだった。
そして、人間も好きだった。
性別年齢問わず、初めて会う人とも、誰とでも気軽に、楽しそうに話した。
そう言えば、父は亡くなる前の数ヶ月をホスピスで過ごした。
そこにはセラピー犬がいたようだ。
父の部屋には、写真がたくさん貼ってあった。
スタッフの方が撮影してくれるとのことで、私は訪ねるたびにその写真を一枚ずつ順に眺めた。
ベットに腰掛けて、嬉しそうに犬を撫でる父が写っていた。

あの写真は、今、どこにあるんだろう…

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