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魔女の宅急便 絵描きの少女から学ぶクリエイターの心得
デザイナーとクリエイターの違いとは?
クリエイターとは創造的な仕事をしている人のことを表す。
グラフィックデザイナー、Webデザイナー、イラストレーター、動画クリエーター、フォトグラファー、コピーライター、作家などは全てクリエーターに含まれる。
デザイナーは目に見えるような意匠の計画や図案や設計などを手掛ける人のことを指す。
つまりデザイナーはクリエイターの一種。
かつてメーカーでパッケージやリーフレットなどのグラフィックデザインを担当していた。
内製と外注の割合は4:6
簡単なリーフレットや宣伝物はわたしで制作。
よりクオリティーを求めたいときは外注に依頼しディレクションを担当した。
だれのためのデザインなのか?
グラフィックデザインを手掛けるとき対象物(商品やサービス)と同等に意識しなければいけないこと。
ターゲットはだれなのか?
男性なのか、女性なのか。
大人なのか、子供なのか。
学生なのか、社会人なのか。
さらに細かく年代やライフステージまで意識する。
何かをつくるとき、相手を見ずにボールを投げてはいけない。
すてきなパッケージ、リーフレットができた。
だけどターゲット層はシニア世代も含まれる。
ビジュアル重視で文字が小さく読めない。
ターゲット次第で見せ方も考えないといけない。
ライフステージの変化にともなう心やカラダの変化にまで寄り添うことが求められる。
女性向けの商品を扱っていたので、やさしさやぬくもり、女性らしい繊細さにくわえ、これを使えば人生をも豊かにしてくれるような、嬉しさやよろこびが伝わるようなイメージを意識していた。
自分のつくりたいモノをつくれるわけではない
外部のデザイナーに依頼するときは、わたしにはない新たな視点に期待した。
だけど顧客層も商品のコンセプトもブランドのイメージも伝えていたのに、全くデザインに反映されていない。
たまにそんな状況に遭遇した。
デザイナーの一方的な感性や好みだけでデザイン案を上げている。
あげくにご自身の美学を語りだす。
だけどね
自分につくりたいモノだけをつくる人はアーティスト。
求めているのはプロの商業デザイナー。
アーティストはいりません。
デザイン案が何点かあるうちの、一案デザイナーの感性だけで表現したものを忍ばせても良いが、たとえ選ばれることがあっても大幅な修正を覚悟してほしい。
ビジネス的に何かをつくるということは、売上や集客が伴わないと意味がない。
1+1=2と確実に答えが決まっていることだったら認識できるけど、デザインには答えがない。
なにをしてもデザインはデザイン。
感性も表現も十人十色。
だから経験が浅いと個人的な美学を貫こうとするし我もでてくる。
ただデザインは商品のイメージを左右する大きな役割を果たしている。
若手デザイナーによくあるジレンマ。
デザイン案を出しても、出しても修正だらけ。
最終的に自分のデザイン原案は修正されすぎてほとんど残らない。
わたしって向いてないのかな?と自信喪失。
だけどね、デザイナーの自己満足デザインよりも、世の中に求められるものを理解したデザインで評価されたほうが何倍も嬉しいと、ゆくゆく気づくことになる。
その場かぎりの一発屋ではない、プロセスを理解した成果。
クリエーターが避けては通れないみち
だから業界的なトレンドや同じアイテムで同業他社がどのようなデザインをしているのかリサーチすることは日常茶飯事であった。
他社の商品を購入してパッケージ(箱)を集めたり、リーフレットをもらって今後のデザイン制作参考として大量に手元においた。
特に気になった印刷加工は取引している印刷会社の担当さんに確認し、さらに詳しく加工方法や耐久性を聞いた。
取引している印刷会社で可能な印刷加工か?
予算はどれくらいか?
輸送時、キズがつくリスクは低いか?
紙や印刷加工の知識はどんどん増え、次の商品にはこの紙この加工を使ってデザインを検討したいなどと思考を巡らせるようになる。
くわえて業界、ターゲット層、自社コンセプト、トレンドを意識しながら新商品にふさわしいデザインを考える。
だけどある日、
デザイン案がでてこなくなる。
あれじゃない。
これでもない。
それでもない。
全然イメージにピッタリこない。
何をしてもしっくりこない。
きっと情報の波に埋もれている。
さらに期日のプレッシャーが拍車をかける。
発売日が決まっているものに対して「クオリティーを上げたいから時間をください」なんて言葉は許さない。
納期は厳守。
思いつかない。
でも妥協はしたくない。
どうしよう、どうしよう、どうしよう
全く同じ話を他社のデザイナーからも聞いたことがある。
わたしだけではなかったんだね。
そんなとき、わたしは数日間その仕事から離れる。
デザインすることを止める
そして別の業務をする。見積をとったり、業者と商談したり。
そうすることで、数日前には見えなかったことが見えてくる。
きっとデザインだけに限ったことではない。
創造する人たちクリエーターに高い確率で立ちはだかる壁。
ジブリ映画 魔女の宅急便 でキキが空を飛べなくなり、絵描きの少女のもとへ訪ねたワンシーン。
少女:魔法も絵も似てるんだね。
私もよく絵描けなくなるの。
キキ:ほんと、そういうときはどうするの?
私まえは何も考えなくても飛べていたの。
でも今はどうやって飛べていたのか、
わからなくなっちゃった。
少女:ジタバタするしかないよ。
描いて描いて描きまくる。
キキ:でもやっぱり飛べなかったら?
少女:描くのを止める。
散歩したり、景色をみたり、昼寝したり。
なにもしない。
そのうち急に描きたくなるんだよ。
映画を観た幼い当時のわたしは、そのシーンについて、なにも感じることができなかった。
だけど今はその言葉がよく理解できる。
そうゆうものなの?
うん、そうゆうものなの!
独創的アニメーション作家と言われる宮崎駿先生でさえ、きっとそのようにして乗り越えてきたんでしょうね。
だけど一旦離れるということは時間が必要。
納期は厳守。(はい、2回目)
デザイナーにはデザイン能力以外にも、スケジュール管理能力が求められる。
デザイナー、クリエイターと聞くと、センスが良く創造力のある人がなれる職業、そんなイメージだったかもしれない。
だけどその背景には人知れず苦労がある。
それはどんな職業にでも共通すること。
感性を磨き続ける
わたしなりにデザインと向き合い、さらに意識してきたこと。
それは常に感性を磨くこと。
旅行にいったり、美術館にいったり、映画をみたり。
毎日歩く街の風景も、夕陽が沈む空の色も、雨の日のしずくの奏でも、季節ごとに変わる木の葉の色も、変化を意識して感じてみる。
普段何気なく過ごしている風景の美しさを知る。
夏には夏のにおいがあるし。
冬には冬のにおいがある。
秋や春もそう。
小さな変化に敏感になり感じるチカラをやしなう。
色んな人の色んな分野の作品をみる。
色んな人がいて色んな生き方があることを知る。
自分だけの狭い視野のなかで生きない。
互いを認め合い、尊重しながらクリエーションしていく。
あれだけ感性だけでデザインしてはいけないと言っていたのに、結局感性を磨く?
移り変わりの早い現代で、リアルタイムでなにが求められているか敏感になり、形にできる人間になる。
いま幅広い分野でクリエーションは求められている。
全ての工程を経験し理解たあと、最後は感性にたどり着く。
誰かに教えてもらってや、何かで読んで理解しただけの近道はない。
全てを経験し噛みしめる。
そして忘れてはいけない大切なこと
楽しみながらクリエーションする。
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