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【再掲】都構想住民投票から一年に寄せて

今回のnoteは、前ブログで2021年11月1日に掲載されたもののnote再掲です。

近日中に、都構想関連の記事を作成予定ですので、復習のため再度見返すべく掲載するものです。

約2年前のブログなので、一部非現行な内容も含まれていますが、ご了承願います。

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一年前の今日、大阪府と大阪市を統合し、4つの特別区を設置するといういわゆる大阪都構想の住民投票が行われた。


かつてあった大阪府と市がお互いの権勢を競って行政の無駄を多く発生させ、大阪全体を衰退に陥れた忌まわしき二重行政を根本から解消するため、大阪維新の会が掲げた看板政策、それが大阪都構想だった。


2011年の大阪W選挙(大阪府知事選及び大阪市長選の同時投開票)では、大阪都構想の実現を公約に掲げた、大阪維新の会の橋下徹、松井一郎の両名がそれぞれ市長選と府知事選で圧勝し、民意という大義名分を得た。


しかし、その後、維新の国政進出とその離合集散等を経た後、2015年に大阪都構想の是非を問う住民投票では僅差で否決。橋下徹氏は政界を引退した。


都構想反対派が掲げた大阪都構想の代案、大阪会議は早速形骸化し頓挫。


二重行政の解消はやはり都構想でなければ実現できないという機運が高まり、住民投票から約半年で再び大阪W選挙が行われ、大阪都構想再挑戦を公約に掲げ、大阪府知事選は松井一郎氏、そして、橋下徹氏の意思を引き継いだ吉村洋文氏が大阪市長選で大勝。再び大阪は都構想の議論へと舵を切った。


2017年の衆議院選挙で議席が振るわない国政維新。


党勢の衰えを敏感に感じ取った都構想反対派の政党は、大阪の地方政治においても攻勢を強め、2度目の都構想住民投票をなし崩しで頓挫させようと画策した。


窮地に陥った大阪維新の会は、乾坤一擲の大勝負に出る。


2019年春の統一地方選に合わせ、大阪府知事と大阪市長を入れ替えて選挙を行うという大阪Wクロス選という奇策に打って出る。


支持者の間でも必ずしも評判の良くなかった入れ替え選挙ではあるが、再度大阪都構想住民投票実施の是非を問うという熱意が大阪に住む人々の心を突き動かし、Wクロス選は圧勝。


そして、同日に投開票が行われた大阪府議選では大阪維新の会が過半数を大きく上回り、大阪市議選でも過半数にわずかに届かなかったが、40議席獲得と5議席増の地滑り的大勝を果たした。

通常、地方議会においては、中選挙区制(または大選挙区制)であるため、一政党が過半数やそれに近い議席数を選挙で得ることは異例中の異例であり、大阪維新の会が圧倒的民意を得ていることを象徴づける政治史上の事件ともいえたであろう。


その勢いのまま臨んだ2019年夏の参議院選挙は、東京でも選挙区で議席を得る等、維新の改革の成果がいよいよ全国に波及していく予兆を感じさせた。


ところが、2020年末から2021年始にかけて世界で起こったパンデミックは、日本にも暗い影を落とす。


未知のウィルスにどう対処すべきか、民間人はもちろん、政府もその対応の中で混迷を極める中、大阪府知事に就いた吉村洋文氏の一歩先行くコロナ対応が全国的な注目を浴びた。


吉村洋文氏は、コロナ渦で暗く沈んだムードに日本国民が見出しいた数少ない希望の光として、大いに脚光を浴びた。


橋下徹氏以来の維新スター政治家の誕生である。


吉村洋文氏のコロナ対応は、吉村洋文氏個人の力量もさることながら、松井一郎市長の英断で大阪市が大阪府に対応方針を任せそれに従ったことが大きい。


約10年前の新型インフルエンザ騒動では、当時の橋下徹知事と平松邦夫市長で足並みがそろわず、調整に難儀したことは広く知られている。


府市一体によるメリットがこのコロナ渦対応でも発揮され、いよいよ府市統合によるメリットが広く理解されてきた中で迎えた2020年秋、2度目の都構想住民投票。


住民投票公示前は、世論調査で賛成が大きくリードしていた。


約10年にわたる大阪維新府政・市政の実績、吉村フィーバー・・・最高のシチュエーションで迎えたはずの2度目の住民投票は、またも僅差で否決となった。


なぜ、都構想は否決されたのか。


テレビの街頭インタビューでは、このコロナ渦で住民投票を実施することに対する疑問の声も目立った。


確かにそれも理由の一つだろう。


根拠なきデマも流布した。


それも否決に流れた理由の一つかもしれない。


しかし、「なぜ、今、大阪が上手くいっているのに統治機構を変える必要があるのか?政令市のままでもいいのではないか??」という趣旨の声も多かった。


私はこれこそが、住民投票否決の最大の要因と考える。


大阪維新の会は、なにわ筋線の推進をはじめとしたインフラ整備、公立大学の統合、港湾一体運営といった改革を通じ、大阪の状況を好転させた。


それらはすべて、大阪府知事、大阪市長という大阪地方政治のツートップのポストを大阪維新の会が独占し、知事・市長が同じ方向を向いて地方政治を行うことで実現できたのであるが、都構想実現のために行ってきたこうした様々な努力は、皮肉なことに都構想の必要性を薄れさせたのである。


現状を「バーチャル都構想」と謳ってしまったことも、現状維持に拍車をかけたであろうことは想像に難くない。


「バーチャルでできるなら、都構想まで必要はない」ということである。


一方、大阪維新の会による府市一体の政治は、大きな支持を得ている。


その証拠に、都構想住民投票の出口調査では、大阪市政を評価する声が70%以上にも上っている。


都構想自体は否決されたにも関わらず、である。


つまり、この住民投票で示された民意は、「政令市としての大阪市をなくしてしまう都構想のような抜本的な制度変更までは望んでいない。しかし、大阪維新による府市一体の政治は引き続き望む。」ということである。


もし、大阪府知事、大阪市長のどちらかが維新じゃない政治家になったら、府市一体の政治は崩れてしまい、また維新以前の二重行政へと逆戻りするであろう。


大阪市民らは、引き続き維新を支持し、維新の府知事・市長や府議・市議を選び続けることで、都構想と同じような成果を期待するという民意を示唆している。


都構想は、府市一体の政治を実現する一つの手段でしかない。


代表が吉村氏に変わった大阪維新の会は、当面は都構想を封印し、「One Osaka」を掲げ、大阪の改革に向けた再スタートを切った。


大阪は、政令市のままでの「One Osaka」を選んだ。


そして、それは大阪維新によらなければ実現できないことも、大阪の人々はわかっている。


その民意を受け、これからも、維新は大阪府政・市政の一体的な改革を実現していくだろう。


いわば、大阪維新の会という政党そのものこそが、二重行政を解消し府市一体の政治を実現する都構想の化身なのかもしれない。


ポスト都構想の大阪維新の会がどうなっていくか、日本全体が注目している。

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