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サブカル大蔵経421佐々木徹『週刊プレイボーイのプロレス』(辰巳出版)

 面白かった。冒頭の馬場インタビューの新鮮さ。前田日明やヒクソンとのインタビューを超えた関係性。今まで全く知らなかったレスラーたちがここにいる。猪木以外はみな載っていますね。

 辰巳出版のプロレス本って赤い表紙。なぜ集英社では出せなかったのかな?

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読者に伝えられるのは、よくてたったひとつ。p.16

 記事を書く時の心得。

専門誌の連中を出し抜き、ヤツらに週刊プレイボーイはあなどれんぞと思わせた人間が偉いんだって。p.20

 〈週刊プレイボーイ・スピリット〉

【ジャイアント馬場】いいかい。俺がなぜ全日本プロレスを作ったかを理解するには、日本のプロレスが作られた過程から考えていかなければいかん。p.30

 力道山、日本テレビ、三菱電機。そのおかげで日本プロレスは隆盛で始まった。その恩義を大事にする馬場。

プロレスのルールの中で絶対にやっちゃいけないことって何かわかるかい?/それは相手の虚を突いてはいけないということ。p.32

 馬場のプロレス道は生き方にも反映されている。いや、生き方がプロレスに反映されているのか。

佐藤孝行。彼が入閣したら新日本との交流も真剣に考えると言ったんだ。p.33

 筋が通る世の中なのか、もうそれが壊れている世の中なのかを、まさかの佐藤孝行ではかる馬場イズム。

ふたりは闘わなくても、話し合ったという事実だけで人々に夢と勇気を与えるのです。p.50

 猪木と馬場の対談を画策するプレイボーイ、すごい。プロレス村やファンには思いもつかなかった発想。そして説得するために文章を紡ぐスタイル。これ、立派なプロレスですよ!そしてこれにOKした馬場!

【三沢光晴】重要なのは、この言葉を暗く"やっちゃった"と言うのではなくて、不敵にそれでいて満足気にボソッと"やっちゃった"と呟くプロレスをやらなきゃ。p.57

 三沢の言葉はいつも説得力があった。説得力こそが三沢プロレスだと思う。だから晩年の腹が出たスタイルは痛々しかった。

うまくいかなくて金に困って、それでも泥水すすってでも自分が作ったリングを守って、そこから徐々にファンの支持を集めて、自分たちの力だけで大きな会場を満杯にする。それを持続できた時に、俺のほうからおデブちゃんに頭を下げてでも、"リングに上がらせてくれ"、"闘おう"とお願いするよ。p.75

 橋本からのゼロワン再試合のオファーを断る三沢と、それを素直に受ける橋本。そこにプレイボーイが絡んでいたとは。ファイトや週プロでプレイボーイや佐々木徹さんの名前見たことあるかな?

【安生洋二】待ってるのはヤツの膝だよ。p.78

 ムエタイ戦士との対戦前、試合予想でタックルを勧める記者への安生のコメント。まさに藤田がミルコにやられた形の予言。

【藤原喜明】私は、申し訳なくて仕方なかったんですよ。援助をしていただいたメガネスーパーさんのことを、不用意にもとやかく言う人がいましてね。p.94

 この頃の藤原組はSWSにかなり近い。完全に合体したらまた展開変わったが、S側が拒否。

【前田日明】98年の秋…いや、9月。東京ドームで俺はヒクソン・グレーシーと闘います。p.147

 こんな話ありましたか…。

死ぬことより生き抜くことのほうがよっぽど怖いことをね。p.151

 前田からヒクソンへの言葉

【長州力】武藤は強いよ。彼らがどんなスタンスとろうが、武藤は強いよ。p.190

 今年のYouTube対談での二人の信頼性というか、武藤にすべてを預けるような長州の姿勢は、この発言から始まっていたか。

【ヒクソン夫人】新日本から3試合のオファーが来ています。1試合はイイヂカ?で、次はケンスキー?最後は…p.252

 ヒクソン戦、幻のキーパーソン飯塚。

【橋本真也】なんかさあ、いつも自分を大きく見せるというか、突っ張ってないと、あの2人に飲み込まれちゃいそうでさあ。p.257

 三銃士の功罪。

【ジャイアント馬場】あの時の猪木の行動がわしの中で黒いシミとなって、今でも残っとるんだ。p.261

 吉村に何故ひとことなかった。あとは猪木の人生をとやかく言わない馬場。

シンは若い連中に怒っている。p.268

 外国人最知性派。

【ベイダー】俺はあいつらとダンスを踊るためにリングに上がってたわけじゃない。p.276

 ベイダーの闘いとは。三沢の裏逆十字に負けた試合が印章深い。

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