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サブカル大蔵経214 今和泉隆行『「地図感覚」から都市を読み解く』(晶文社)

 街オタクには唯一無二の嬉しい考察本。前半の丁寧な説明は読み飛ばしてしまいましたが、後半の街の新旧盛り場比較などは、名鑑・図鑑レベルでした。本書掲載の地図では、旭川のイトーヨーカドー、札幌の中江病院が知ってる場所でした。

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首都高出入口の名称やバス停の名前に旧町名が残っています。p.158

 唯一古地名が残るのが、バス停と浄土真宗本願寺派の組名。

中心地(旧市街)と駅(新市街)の距離。p.183

 この考察たまらないです。駅と街の関係。駅は街の後にできた。日本は、街の集まりです。

連続:青森、福島、郡山、高崎、福井、静岡、浜松、豊橋、姫路、倉敷、小倉、大分。

 偶然か、どれもゆっくり歩いたことがないです。つまり、ド観光地ではない。旧市街的なものが残っていないか、旧市街と新市街が合わさっているから、歩くには大きすぎるのかな?福井だけ、たしか城周りを歩きました。

近接:盛岡、秋田、山形、仙台、長野、松本、甲府、富山、岐阜、岡山、鳥取、米子、徳島、高知、山口、佐賀、佐世保、宮崎。

 核のある少し色気のある街が多いか?津とか旭川もここかな?

離別:札幌、水戸、名古屋、金沢、京都、広島、福岡、長崎、熊本。p.183

 だんだん駅周りがメインになってきた街

バイパス線として作られた山手線。市街地のかなり外側。p.186

 山手線の位置は中心ではなかった。

佐世保と佐賀。佐賀の方が博多駅に近いので人口流出促進。p.194

 佐賀と佐世保の比較。この考察もたまらない。

市街地の重心。中心街(旧市街)と駅(新市街)どちらが強い?

 この考察も斬新。漠然と感じていたことをあらわしてくれました。でも、この10年でだいぶ変わったと思われます。

旧>>>新 八戸、山口、高知、熊本、宮崎
旧>>新 盛岡、京都、広島、福岡、佐世保
旧>新 札幌、名古屋、鹿児島
旧=新 弘前、仙台、山形、水戸、甲府、岐阜、富山、岡山、米子
旧(観光地)<新 長野、松本、松江
旧<<新 秋田、鳥取、徳島 p.211

 特に最後の、秋田、鳥取、徳島という並びが最強すぎます。県名となる街なのに、ド観光地ではない。その控えめさが逆に可能性を感じます。

街の新たな動きは人通りの少なくなった中心地か市街地の少し外側。人通りが少なく古い建物が多い所こそ新しい流れは生まれます。p.227

 ひとつのお店でガラッと変わるのかも。パリの治安悪い地域の14.18.19.20区も。

太川の持参は県別マップル。p.244

 バス旅、そうだったんですねー。

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