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サブカル大蔵経111荒達哉『ハリガネサービス』&『ハリガネサービスエース』(秋田書店)

 『ハリガネサービス』はチャンピオンらしい作品です。ここまでサブキャラが目立つ漫画も久しぶりで、ここまで拾うのか?と作者のレシーブに驚嘆していました。

 家守、野々原、猫田、高代らチームの先輩達。朧、雲類鷲、写楽などの敵チーム。監督たち。彼らのコンプレックスとそれをバレーとの出会いで打ち破れた溢れ出る想いが、作品をここまで導いた原動力となりました。メンバーがどんどん入れ替わるローテーションのようにスポットの当たる選手も敵味方関係なく回転し、それが作品のテンポにも繋がっていた気がします。

 主人公が性格も出番も控えめだったのに、途中から化け物に覚醒する展開は頼もしいのですが、孤独で不穏な空気が付随されていました。味方が彼に「引く」のです。それが続編の『ハリガネサービスエース』に現れた感じがします。

 県予選の戦いは凄すぎた。ドカベンも横浜予選の雲竜、不知火、土門相手がピークだったのと似ていて、チャンピオンの伝統を感じました。作者の真摯な公平感に浸ろう。


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