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サブカル大蔵経677G・K・チェスタトン/中村保男『ブラウン神父の童心』(創元推理文庫)

ブラウン神父の〈イノセンス(童心)〉とは何か。イノセンスは感じられない。

そこに著者のメッセージがあるのかな。

人間と罪。

罪の原因である欲望により見えなくなる。〈イノセンス〉を持つ人間には見える。

仏教の仏は、〈ブッダ〉=〈目覚めた〉という意味。

ブッダ的なブラウン神父は仏様なのかも。神父こそが異教徒そのものというパラドックス。宗教よりも真実を選んだ人。というこじつけをしたくなりました。

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アリスティード・ヴァランタンは徹底的なフランス人だった。そして、フランス人の知性こそ、まさしく正真正銘の知性なのである。(「青い十字架」)p.15

 イギリスとフランスの比較。

他人のほんとの罪を聞くよりほかに、することがなにもないような男が、人間悪についてなんにも知らずにいるなんてことがありますかね?(「秘密の庭」)p.42

 罪を聞くことのプロ。僧侶にできるか?

あの男は、彼が言うところの十字架の迷信を打ち破るためなら、どんなことでもやってのける人間だった。(「秘密の庭」)p.75

 まさかこの方が犯人だとは。

「犯罪というものは、他のあらゆる芸術作品と変わりありません。/いかに仕上がりが複雑に見えようと、中心はあくまでも単純である」(「奇妙な足音」)p.103

 はぎ取る力。あきらかにする力。

「ああいう異教的なストイックは」とブラウンはしみじみと言った。「きまって自分の力で失敗する」(「アポロの眼」)p.305

 実はこの推理小説はキリスト教的な作品なのかも。赤毛のアンに聖書の引用が多いように。

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