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サブカル大蔵経121阿部共実『月曜日の友達』全二巻(小学館)

 リリカルという言葉。

 よく意味はわからないが、この作品のための言葉のようだ。

私は何も変わってない。むしろ変わったのは周りのほうだ。中学生になると別世界だ。学校も家もみんな変わっていく。

なぜ私はみんなみたいになれないんだろう。どうやってみんな大人になったんだろう。

 鎌田東二さんの本のあとがきかなんかに、

「聴く」とは、「耳」にすると、「十四」(歳の)「心」に戻る。14歳とは元服である。つまり「聴く」とは、成人式、人間のスタートラインに立ち還ることなのです。そのくらいの力が聴くことにはあるのです。

 と書いてあったようなことを思い出します。

 素敵な作品を読んでキャラクターに出逢い声を聴くときに、わたしたちは一瞬スタートラインに戻れるのかもしれません。

それでいいんだよ水谷。大人になるっていうことは我慢したり控えることではなく、与えるってことだよ。

 月野、水谷、火木、土森、金石先輩、みんな輝くが、

 一番の主人公は机なんだろう。

 この時期でしか訪れることのない不安と瞳を抱えた中学一年生を、毎年迎える机。

 最後、机にうつ伏せるおさげの子。机は孤独も涙も血も受け止める。

 学校から離れた私たちに、今、あの机はあるのだろうか?

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 私は火木みたいな脇役に、いつも感情を重ねてしまいます。

 パッチギで真木よう子が演じた不良のような。

私は全然大丈夫だ。そんだけ!

どうしてもこの一言だけ言いたくてよ。

だって急にいなくなるんだもん。

お兄ちゃん。


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