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サブカル大蔵経107 山口貴由『衛府の七人』①〜⑧巻(秋田書店)

 山口貴由が今の漫画界にいてくれる安心感。

 手塚治虫、山田風太郎、時代劇、残酷、鬼、武士、被差別、忍び、琉球、犬、狼…、人間が彼方に置き去り他人事にしてきた全てを背負い、その声を現代に蘇らせようとする孤独の直系感。言葉と絵と血涙を浴びる感覚。

 これは、現代の紙芝居か⁈

 家康、秀頼、島津、服部半蔵、大久保忠隣…非道い人間たちを代表する偉人たちの人選も豪華。決闘の台詞のシュールさが何かのバランスを保っている。進撃の元祖。

い嫌じゃ!ブスは嫌じゃ!(三巻)

人の命より皿の値打ちが勝る武士の世
衛成よ、今こそ聴くべし、舌なき者らの声
異国との闇取引でござる (七巻)

鬼には、武士なんかよりずっと血も涙もある
よくあることです 武士の世界では (八巻)

シグルイのキャラも覚悟の世界観も渦巻く山口オールスター作品としても、嬉しい。

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