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サブカル大蔵経94相原コージ『こびとねこ』(双葉社)

 猫漫画をもう一作ご紹介させて下さい。

 相原コージ先生の動物生態作品は『かってにシロクマ』以来でしょうか。

 でも『真・異種格闘大戦』も『Z』のゾンビも、ある意味動物生態モノだったし、『コージ苑』などの作品も人間という生物の生態観察作品だったかもしれない。

 本書は理由なき極小の猫が主人公です。鳴き声は「ぶなー」です。人間から見たバイアスを外した上で、猫特有の仕草や本能を可愛いらしく描いてくれます。飼い猫として、家の中にしかいない〈猫〉を自然の中に解放してあげた感じもします。

 そしてその小ささ故に森の住人達との夢の対戦描写を通して、人間からは見えない森の生態図鑑としても味わえます。悩んだり、うまくいかなかったり、必死に生きているのは人間だけではありません。猫は狂言回しで、こちらの生き物たちが本当の主人公なのかもしれません。

「シロクマ」の索引風に住人たちを列挙すれば、ドングリ、カブト虫の死骸、ミミズ、雨、セミの抜け殻、蓮の葉、クワガタ、カマキリ、アリジゴク、枝、カメムシ、雪、氷、ヤマネ、つくし、カタツムリ、星、ダンゴムシ、蚕、シャクトリムシ、ほおずき、風、栗、クモ、つらら、てんとう虫、カエルの卵、ヒキガエル、カナヘビ、亀、鳥、そして最後に嬉しいゲストが登場します。うり〜。

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相原コージ記念館、登別にできないかなぁ

本を買って読みます。