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サブカル大蔵経648ロマン優光『日本人の99.9%はバカ』(コアマガジン新書)

頼もしきロマン優光という沙門の処女作。世間の誤解や業界の圧力を跳ね返す知性と無頼感。真実や善悪を無骨に追求する姿。

先輩方に引導を渡す言説の狙撃手であり、救済者でもあります。最近でも水道橋博士のジェンダー問題で粘り強く指南していました。

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使命感に燃えている自分に酔っているバカ、知識がないことに気づかない心性がバカ。p.7

 言説をふりまく人が越権的な発言をした場合、是正せざるを得ない孤独な使命感。

サブカルはある意味差別語でした。サブカルチャー愛好家の中にいる、作品自体ではなくそれに関する情報を弄ぶのを好む軽薄浮簿なタイプだったり、作品自体よりそれが好きな自分が好きな自意識過剰で痛々しいバカを揶揄したり軽蔑する為の言葉でした。p.76

 サブカルという言葉への警戒感を持つ自分自身こそ、その近辺で語る時、そう陥っているのでは無いかと気づかされました。対象への愛情が愚直ならば尊敬の対象になるが、自分自身をアピールする姿が垣間見えた瞬間、侮蔑の対象になるのだと。

サブカルとヲタクの違いというのは、対象そのものの違いではなく、情報に固執するか、対象に固執するかのアプローチの差にある。p.96

 的確な分類。私も中二の時、アニメ誌に松山光のイラストを投稿していましたが、あの頃は純粋なオタクだったんだなあ。

自問自答を繰り返す自分は、自己批判できる自分という優越感に酔っているだけではないのか。p.185

 自己批判という陶酔。全ての運動につながる結末。

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