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サブカル大蔵経935鹿子裕文『へろへろ』(ちくま文庫)

介護という魔物。普通、嫌がり遠ざける。

しかし、その〈場〉を作るために、集まり、成し遂げ、去っていく人たち。

その雄姿は、「福岡の七人の侍」か、「日本のブルースブラザーズ」か。

介護者と被介護者。専門家と門外漢。スタッフと観客。登場人物と読者。

その垣根が溶けてぐちゃぐちゃになっていく巻き込んでいく。

ここはまたいろんなイノチの停留所p.252

谷川俊太郎も参戦。

「楽しもう。もがきながらも」それは創刊号のキャッチフレーズになった。p.170

著者の音楽魂、編集王。

デザイン寄藤文平さん「ちゃぶ台」名文。

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下村恵美子は一瞬にしてときめいた。今まで出会ったばあさまの中でも、最強クラスのばあさまだったからだ。p.15

 ときめきの介護。そのひとりのために。

住職の奥さんに相談したところ「そういうことなら」と、お茶室を貸してもらえることになった。p.19

 寺の茶室から始まる。わかります。お寺の普段使われない場所筆頭。

リハビリもしない。お遊戯もしない。つまり「余計なことは一切しない」。これを福岡では「いたらんことをせん」という。p.21

 強制がなくなるだけで居心地かわる。

特に用事がなくても遊びに行って、お茶を飲んでバカ話に興じp.79

 お茶飲みの尊さ。松村圭一郎『くらしのアナキズム』のエチオピア。

「いろっぽいじいさんの尻…」p.126

 言葉の谷川俊太郎、身体を求められる。

僕らを待ち受けている「老い」とは、本当にそういうものなのだろうか。そんなせこい話なのだろうか。p.168

 せこいという言葉が刺さりました。すべて自分に返ってくる本書。

「みなさん、ぎりぎりまで自宅で暮らす方法がひとつあるんです。それは、自分の時間を誰かのために使うことなんです。」p.186

 村瀬孝生さんの説明会にグッとくる。義務ではなく遊び半分でいい。本書読了後、ネットで村瀬さんやよりあいを検索しました。




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