サブカル大蔵経639荒俣宏『喰らう読書術』(ワニブックスPLUS新書)
荒俣宏が同時代にいたことに感謝します。個としての巨人さを持ちながら、さまざまな方とセッションする聞き手としての態度もカッコ良すぎます。今は角川武蔵野ミュージアムに携わられていますね。ここ次に東京行く時はぜひ行ってみたいです。
こんな風になりたいと思った方でもありました。欧州の闇の世界から、江戸前の軽やかな語り口に移行して久しいですが、最後に根本的な書籍の投下を期待しています。
その荒俣本の今回の新書は読書論です。
恩師の紀田順一郎の読書論を伝える嬉しさと、本や知性の退廃を案じる悲しさ。その二つが伝わりました。
一応上記4つは心がけていますが、特に④は、このnoteに書き残そうと思った動機でもあります。どんなに自分と相性の悪かった本や作者でも、一行でも残しておきたいと思ったからです。
人と本の距離が広がった。身の回りに昆虫や鳥が居なくなって動物園に出かけているのと近い。p.5
本は虫や鳥や魚かぁ。本棚は止まり木。
楽な本のみ読むと、利口・バカ増えた。最大のポイントは、本を読む手間を惜しまない。本棚には読まなくても並べる楽しみがある。真の読書は、読むことに直接の利益を期待しないこと。p.6
利益を期待しないことが利益を生む。
ダイジェスト要約は読まない。p.24
全部食べることで得る体験こそ読書。
ツィオルコフスキー。ロケットが共産主義完成の鍵。重力なければ土地の呪縛から解放。p.70
荒俣宏領域の中でもロシア・プロレタリア文学については異色の面白さ。
本の埋蔵金当てるには偏見を持たないこと。p.72
他力的読書。
読書には、諦めが必要。失うこと多い。p.81
荒俣さんの、力説。
読書は家族には怠けているように見える。作家は失業者。p.82
読書という態度。
最悪の家具・完璧に自立して生きていけるのは、紙の本だけです。p.117
自立の物体。
教会が本を保存していた。p.127
日本の神社仏閣もこの役割があったが、現在は…。ちなみに私の知り合いのお寺にはすごい書庫があります。それが知られていないところにこそあったりするのが面白いし、もったいない感じがしています。
7勝8敗で上等。p.212
阿佐田哲也と同じ見識。そういえばおふたりの風貌似てるかも…!
タコ学。頭の先が足。脊椎動物は後から来た生物。p.280
荒俣宏を読む喜び。人間だけではない世界を人間が発見していく驚異を伝えてくれたこと。
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