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サブカル大蔵経480山本周五郎『暗がりの弁当』(河出文庫)

無骨なエッセイのようで小さく繊細な姿。

再読した時の方が文字が入ってきました。

山本周五郎は、時代小説のイメージだが、ブドー酒と安ウイスキー好きな人でした。

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人情純朴な客ばかりだと、店主からコック職人にいたるまで、いいかげんな仕事しかしなくなる。p.32

 店不審。洋食好みだけど、店がないと。

私は昼めしを外で食べる。たいていそばを食べるが、そのあとでしばしば映画を観る。映画を観るというより、館内の暗がりで動く画面をぼんやりながめながら、一、二時間ぼんやりしていると言ったほうがいいかもしれない。p.56

 映画館で映画を観ない。内田百閒がただ鉄道に乗るのと似ている。

人間は五十才を越すころから、ようやく世間の表裏や社会構成のからくりや、人間感情の虚実を理解できるようになる。近松も五十才以後。p.82 

 山本周五郎作品の人物を語るかのよう。

朝はたいてい七時前に目が覚める。サントリー白札をストレートで一杯、次はソーダか水割りにして啜りながら、へたくそな原稿にとりかかる。原稿はずんずん進むけれども実感がない、嘘を書いているようで、軀じゅうに毒が詰まったような、不快感に包まれてしまう。私はそれをなだめるために、水割りを重ね…p.106

 朝から、サントリーの水割り。これが、サントリーのCMに「赤ひげ先生」が登場したご縁?

ジャーナリズムが殺した?冗談ではない、作者はそんなものに殺されはしない。作者は自分の小説によって殺されるものです。p.109

 林芙美子を偲んで。作家の業と矜恃。

私はシャワーは使うが風呂は嫌いである。p.121

 仲間との温泉でも、風呂入らず部屋呑み



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