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ぐっすり眠れないのは気持ち良すぎる電気毛布のせい!?

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冬は身体が冷えてしまう季節。電気毛布を利用すれば、ぐっすり眠れるというイメージをお持ちの人もいるかもしれません。でも、使い続けていると眠りの質が下がってしまうのでご用心。
寝床の温度は、高くても低くても眠りの質を下げます。とくに高温すぎる環境は、ノンレム睡眠を妨げてしまいます。
ノンレム睡眠は、成長ホルモンの分泌と心身の疲労回復効果があると考えられています。つまり、電気毛布を使ってしまうと、心や身体の疲れが取れなくなってしまう可能性があるのです。


急激な体温の上昇は眠りの妨げに


快適な睡眠が期待できる布団の中の温度は33度前後と言います。ただし、電気毛布は体温よりも少し高めに設定されていることも少なくありません。つまり、眠るには温度が高過ぎるということです。一時的に冷えた身体を暖めるにはいいのですが、つけっぱなしで寝ると身体を暖め過ぎてしまい、眠りの質が下がってしまいます。
人間は眠りに入るプロセスとして、布団に入って少し体が暖まったあと、身体から熱を放出して体温がストンと落ちたときに眠りに入っていきます。だから、無理に体温を上げないことが大切です。就寝前に熱いお風呂に入るのも控えましょう。


布団に入るとき、もしくはタイマーでオフにすれば大丈夫


右のグラフは、8人の成人女性にTシャツ・短パンといった軽装で、体各部の温度を1日間記録したものを示しています。
室温は、この服装で暑くも寒くもないように調節しているため、就寝中も布団を使用していません。
少しわかりにくいのですが、図の上3本と下3本の温度がおおよそ反対の上昇下降をしています。

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つまり、身体の奥である直腸温度、胸部・頭部の皮膚温は夜間低くなり、日中上昇を始めていますが、手足の皮膚温は夕方遅くから上昇を始め、早朝には下降しています。
これは四肢末梢の血管を拡張して皮膚から放熱し、身体の奥や脳の温度をクールダウンして休息モードに入るための生理現象なのです。
ここで手足からの放熱ができなかったらどうでしょう?
十分な休息感が得られないばかりか、軽い脱水状態になるため心臓への負担も起こってしまうのです。
布団内の温度をあらかじめ快適な温度(33度前後)まで上げておくために、電気毛布は有効です。しかし、その後は電気毛布のスイッチを切っても、寝ている人自身が発熱(放熱)体となって寝床内を暖めるため、寝床内温度の低下を防ぐことができます。
また、朝方にタイマーで室内暖房を入れることが可能ならば、寝室・寝床内温度の低下を防ぐと同時に、起床しやすい室内環境を整えることもできるでしょう。
電気毛布の電源は、就寝時に切るか、タイマーでオフになるよう設定おきましょう。


電気毛布の使い過ぎは、肌の老化を進め、心臓に負担がかかり、疲れがとれない


電気毛布による過度な加温は、皮膚をカサカサにしたりします。
それは皮膚の温度が上がり、発汗が進むためです。
当然、肌にも悪く、老化を進めてしまいます。
そして、人は体温を下げないと「深い眠り」につくことができませんから、外部から温められているため体温が下がらず、心拍数が増加してしまいます。

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心拍数比較の実験結果によると、電気毛布を使った場合、未使用時より15%ほど心拍数が増えているのがわかります。
つまり、心臓への負担が大きくなるということです。
入浴中に寝てしまうと、溺死などの恐れがあり、危険
と言われるのも同じ理由です。

さらに、脳と身体は体温を下げようと休息せずに働き続
けるため、疲れがとれません。
疲れがとれないと、どうなるでしょうか?
その日の疲労を翌日に持ち越すどころかどんどんと蓄積してしまいます。
たまりにたまった疲労物質が、肩こりや腰痛を引き起こしてしまうのです。
深部体温比較の実験結果によると、電気毛布を使った場合、体温が下がらず、脳と身体が十分に休息できていないのがわかります。

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繰り返しになりますが、電気毛布の電源は、就寝時に切るか、タイマーでオフになるよう設定してみてはどうでしょう。また最近では、就寝後しばらくするとオフにな
り、起床時にオンになるという設定が可能なタイマー付
の電気毛布も発売されているようです。


電気毛布に頼らない家づくり


ところで、21世紀にもなって「寝る前にしっかりお風呂で体をあたため、そのうえ電気毛布で布団を暖めておかないと寒くて眠れない」、という日本の住まいの実情は、少しおかしいのでないか?と思いませんか。
北半球の先進国では建物全体を暖める24時間暖房が主流となっており、ヒートショックの恐れが少なく、安全で快適な暮らしができます。


このような環境をつくるには2つの条件が必要です。
ひとつは、しっかりとした断熱です。わずかなエネルギーで家全体を暖められる性能がなければ、膨大なエネルギーを浪費することになります。
もうひとつの条件は、常時、僅かずつでも熱エネルギーを供給すること、すなわち一部の部屋だけでなく家全体を24時間暖房することです。
昼間だけの太陽熱や、夜間の安価な電気を活用しようとすると、「蓄熱」という機能も不可欠なものとなります。(図は水蓄熱床暖房~アクアレイヤーシステム)

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「早起きしなければならない日」の睡眠不足を防ぐ入眠テクニック


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眠りに関する情報をもう一つ。出張や旅行、イベントなどでいつもより早起きしなければならないとき、あなたはどうしていますか? 
「早起きに備えて早めにベッドに入ったものの目がさえてしまって、結局あまり眠れなかった」という失敗の経験を持つ人も多いのではないでしょうか。
これではいつもより調子も出ず、大事な仕事や楽しい予定も台なしですね。
そこで、快適に早起きをして元気に過ごすためのコツをご紹介します。


人は自分の意思で眠ることができない

「早起きに備えよう」と陥りがちなワナが、就寝時間の前倒しです。
しかし、「寝ようと思っているのに眠れない」という経験が誰にでもあるとおり、人間は自分の意思で睡眠に入れるものではありません。
とくに翌日の起床時間がいつもと違って早い場合や、大切な予定が控えている場合は、その緊張感などで余計に眠れなくなってしまうことが多いのです。

では、どうすれば入眠をコントロールできるのでしょうか。このカギを握っているのが、睡眠ホルモンとして知られる「メラトニン」です。

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メラトニンは、起床後約14~16時間で分泌されます。
つまり、朝7時に起きれば21~23時ごろにはメラトニンが分泌され、その後自然に睡眠に入っていきます。
この場合、起床時には太陽の光を浴び、朝食を食べて体をきちんと目覚めさせておくことが重要です。


人は自分の意思で起きる時間を選べる・・・起床時間を工夫して、早起きの負担を軽減


この理論を活用すると、例えば十分な睡眠をとったうえで朝5時に起きるには、前日の19~21時にはメラトニンが出ていなければなりません。
そして、そのメラトニンが出るようにするにはその日の朝、つまり早起きしたい日の前日の朝5時に起きなければならないのです。

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こう聞くと、「なんだ、早起きが前倒しになっただけじゃないか」と思われるかもしれません。しかし、起きる時間は意思で変えられるわけですから、早起きしなくてはならない日に向けて徐々に起床時間を早めるなどの工夫が可能なのです。
例えば、数日かけて毎日20~30分ずつ早起きするようにし、夜も早く眠るようにすれば、当日だけ極端に睡眠不足になるリスクを軽減できます。

重要なのは、「眠ろう」という意識だけで入眠するのは困難であること、また寝る時間は起床時間によってコントロールされていることを理解しておくことです。
前日までに起床・就寝時間のコントロールができなかった場合は、無理して寝ようとせず、「明日は早起きだから、多少の睡眠不足は仕方ない」と開き直って、いつも通りに就寝しましょう。
早起きを気負わずリラックスすることがよい睡眠を導きます。

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