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派遣社員時代に出会った、忘れられない営業担当さんの話。

たまにふと、思い出す人がいます。

派遣社員時代にお世話になっていた、営業担当さんのこと。

新卒で正社員として入社した会社を爆速で辞めて、派遣社員として働きはじめたとき、私の営業担当として企業との仲介をしてくれた人がいました。

派遣社員として働いたことがない人にとっては「営業担当」がピンと来ないかもなので、一応ざっくり説明します。

派遣社員って、実際に勤務する企業の人とは、基本的に直接交渉をしないんです。

業務内容は企業の人から教わるけど、勤務時間とか待遇とか、人間関係とか、なにか問題があれば必ず派遣会社を通します。

その時に仲介をし、色々助けてくれるのが営業担当さんです。


私の最初の担当、山田さん(もちろん仮名)。

ハキハキと元気のよい男性でした。

当時おそらく20代半ばでしょうか?
正しい年齢は知りませんが、私より少し歳上に見えました。

偶然にも地元が私と同じ徳島県で、地元のラーメンの話で盛り上がったのを覚えています。
上京してから出会った徳島県民って、多分片手で数えられるくらいしかいないってくらい、めちゃ貴重です。

初めての派遣社員としての勤務、しかも前職の会社もかなりの短期間で辞めてしまい、ろくに社会人経験を積んでいなかった私は、きっといつも不安そうな顔をしていたのでしょう。

「なにも心配いらないので、安心して勤務してください」

山田さんは私に会う度に、口癖のようにそう言っていました。
勤め始めてすぐのころは、ちょくちょく様子を見に来てくれたり。

当時からパラレルワーカーとして働いていたこともあり、ほかの仕事との兼ね合いで勤務日数に悩んでいたときも


「今より出勤日数が減っても、ばっちりフォローするからなにも心配いりませんよ」

「福島さんは、ご自分のできる範囲で出勤してください」


そんなふうに力強く声をかけてくれたり。
「山田さんが大丈夫と言うなら大丈夫だろう」と、とても安心感がありました。

営業担当さんのお仕事は派遣社員と企業の仲介なので、気遣ってくれるのも当たり前と言えば当たり前……なのかもしれませんが、山田さんの言葉には「仕事だから言っている」という雰囲気を感じさせない温かさがあるというか。

優秀な営業さんというのは、ただ仕事ができる人ではなく、優しさに溢れているものなのだと知りました。

優秀すぎたためか、山田さんはその後わりとすぐに本社へ異動になってしまい、私の担当からは外れることに。

私の担当としてお世話をしてくれたのは、たった3〜4ヶ月くらいだったと思います。ハッキリとは覚えていないけど。

「若いのに、もう本社異動だなんてすごいなぁ」と尊敬の眼差しで見ていたところ、山田さんから思いがけないことを言われました。


「僕、福島さんのこと尊敬しています」って。


派遣社員としての仕事も、問題なくこなしている。
派遣先の企業からの評判もいい。

それだけでなく、パラレルワーカーとして何足もわらじを履いて頑張っている。

「働き方改革」が注目されている中、福島さんはまさにそのモデルとなる人だ。


そんなふうに、私を評価してくれた人は、もしかしたら山田さんが初めてだったかもしれません。


今でこそ「副業」や「複業」が注目されていますが、その当時はまだそこまで浸透した働き方ではありませんでした。

「ほかにも仕事をしている」と話すと「それってつまりどういうことなの?」と不思議がられることの方がずっと多かったです。

そんな中、「これからの時代のモデルだ」なんて大袈裟な誉め言葉をお別れの挨拶に残してくれる山田さんって、やっぱりすごく素敵な営業さんだったんだなぁと、今でも思います。

その後、一度も山田さんには会えていないけれど、元気でやっているだろうか。

もしいつかまた会えたら、「前よりも、さらに履くわらじが増えました」って話してみたい。

そして私も山田さんのように、人の長所を上手に見つけて、パワーを与えられる人間になりたいと思うのです。

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