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得意な方法で動かせたなら

私の家は今年になってから毎日新聞を取っている。

学生の頃から、「毎日、新聞読もう」と心に決めたはずだったが、「バタバタしていた」という理由でどの新聞も続けられなかった。

けれど、毎日新聞だけは毎日読んでいる。
ちゃんと続いている。

(ダジャレのつもりがなくてもダジャレみたいになっていてとても恥ずかしい・・・)

毎日新聞の記事の書き方が、多分私に合っているのだと思う。

頭が跳ね返さずに、文字がするする私の中に入ってくるのが分かる。

中でも楽しみにしている記事は「コラム発信箱」だ。

この「コラム発信箱」は毎日新聞の人が日替わりで書いているのだが、最近のコラムでは2017年3月14日の小国綾子さんの「フォルテの強さで」というコラムがとても好きだ。

歌人で高校の国語教師でもある千葉聡さんのことが書かれていた。

千葉さんは国語科準備室の入り口近くに小さな黒板を置いていて、毎日、短歌や詩の一節をそこに書くのだそう。

「10代の心が迷った時、羅針盤や伴走者になってくれる一節はないか」と祈る思いで言葉を選ぶそうだ。

その言葉たちは薄氷のように繊細な10代の心に優しく染み渡ったことだろう。

3年1組の担任だった千葉さん。
卒業式の退場間際、生徒が一斉に「ちばさと、サンキュー!」と叫んだ。

全く関係のない私ですら涙がこぼれたので、当人の千葉さんは堪らなかっただろう。

千葉さんは叫ぶ代わりに数年前に詠んだ短歌を黒板に書き付けた。

「フォルテとは遠く離れてゆく友に『またね』と叫ぶくらいの強さ」

私は「そうか、フォルテはそういう強さなんだ」と思った。

力強いだけでなく、心がこもっている。
「じゃあね」じゃなくて「またね」。

「私だったらこれくらいの強さで、こんなふうに叫ぶだろうか。」と勝手に想像して部屋の壁に向かって「またね!!」と叫びそうになって我に返って、やめた。

千葉さんは「言葉」という方法で個性派揃いの3年1組の心を動かし続けた。

毎日新聞の小国綾子さんのこの視点、切り取り方、表現の仕方も素晴らしく、私の心もじんわりと動いた。

それぞれがそれぞれの得意な方法で人の心を動かし続けたら、世界が平和になったりしないかなぁ。

そんなことを考えていた。

そういえば今日は小学校の卒業式だ。
卒業した皆さん、は、多分noteを見ていないと思うので、卒業したお子さんがいらっしゃる親御さん、おめでとうございます。

追伸。
2017年3月14日の「コラム 発信箱」はこちらからも読めます。↓↓↓
http://mainichi.jp/articles/20170314/ddm/005/070/009000c

追伸の追伸。
「今日は中学校の卒業式」と書いてしまいましたが正しくは小学校の卒業式でした。ごめんなさい。訂正しました。

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