ペットの防災、災害から守るには!
1.ペットの防災
① 基本は同行避難
家族の一員である大切なペット。
犬や猫だけでなく、最近では珍しいペットも多くいます。
ペットを災害から守るためには、どのような点に気をつけなければならないのか考えてみます。
環境省は2018年に「人とペットの災害対策ガイドライン」https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/pamph/h3002.html
を発表しました。
これらのガイドラインでは、
災害時にペットと一緒に避難する「同行避難」が推奨されています。
2011年に発生した東日本大震災の際、多くのペットが命を落とし、飼い主と離れてしまった動物が怪我をしたり亡くなったりする事例がありました。
また、災害により野放しになった動物が繁殖し、地域環境を悪化させる問題も指摘されています。
これを受け、政府はペットの同行避難を飼い主の責任として強調しています。
② ぺット連れ避難で気をつけることの注意点
ペットとの避難時には、動物の種類と大きさに応じた適切な方法を選びましょう。
小型犬や子犬、猫はキャリーバッグに入れ、中・大型犬はリードで歩かせます。歩けない大型犬にはリュックキャリーが便利です。
また、ペットが逃げ出さないよう迷子札やマイクロチップの装着が重要で、犬には鑑札と狂犬病予防注射済票の着用が義務付けられています。
東日本大震災では、首輪のみのペットの飼い主との再会率が非常に低かったため、これらの対策が特に重要です。
③ ぺット連れの非常用品
ペット用の非常用持ち出し袋には、
・普段食べているペットフード
・持病の薬
・投薬用のシリンジ
を入れましょう。
さらに、
・ペットと飼い主の写真
・ペットの健康手帳
も重要です。
これらは、ペットとはぐれた際に役立ち、飼い主の証明やペットの健康状態を示すために有効です。
避難時には
・カッターやテープ
・新聞紙
・タオル、毛布
・ペットシーツ、トイレ砂
なども便利です。
これらは即席の食器、寝床、保温材、ストレス軽減、保冷剤や湯たんぽ、簡易トイレ、止血剤として多用途に使用できます。
災害時の準備にこれらのアイテムを含めることが推奨されます。
④ ぺット連れ避難での課題と対策
災害時には「災害弱者」に該当する高齢者や妊婦、乳幼児と同様にペットも考慮する必要があります。
避難所ではペットの飲み水の優先度が低くなる可能性があるため、予測可能な災害の際は早めに安全な場所への「予備避難」が重要です。
ペットと過ごせる宿泊施設や親戚・友人宅への避難を検討し、日常から地域やペット関連施設との良好な関係を築くことが助けとなります。
災害が起きた時の行動や避難生活についても事前に知識を深め、準備をしておくことが大切です。
2.ぺットとの避難生活
いつどこで発生するのか、わからない災害。
突然発生する災害。それは、ぺットと離れていたり、一緒に家の外に出ている時にやってくるかもしれません。
様々なケースを想定して考えてみます。
⑤ペットと家で被災
災害時、まずは自分の身の安全を最優先し、状況が安定してからペットのもとへ行きましょう。
小さなペットは生存空間が小さく素早く動けるため、人間より生存率が高い可能性があります。
リードを早く装着し、避難準備を整え、複数のペットがいる場合は全てを連れて避難できる方法を考えておきましょう。
ペットが脱走やパニックになっても、まずは人命優先です。
ペットが家に戻れるよう食料と水を十分に用意し、状況が落ち着いたら再会を目指しましょう。
⑥ペットと外出中に被災
ペットと外出先で被災した場合、リードを決して離さず、冷静に身の安全を確保しましょう。
外ではブロック塀の倒壊や瓦礫の散乱など、危険が急速に増えるため、危険な場所に近づかないよう注意が必要です。
最初に家へ帰るか、難しければ近くの避難場所へ向かうべきです。
また、普段の散歩ルートで避難ルートを事前に決めておくことも重要です。
⑦ペットと別の場所で被災
一人暮らしでペットを留守番させる際には、安全を確保するための対策が必要です。
遠隔地からペットの様子を確認できる見守りカメラを設置するのが一つの方法です。
また、家具や家電が倒れないように家の中の安全対策を行い、キャリーケースなどペットが逃げ込める場所を用意しましょう。
飼い主が直ぐに帰宅できない可能性を考え、水を複数の場所に置いておくことも重要です。
見守りカメラと組み合わせた自動給餌器も役立ちます。
窓は施錠し、ペットが逃げ出さないように注意し、屋外飼育の場合は小屋の周りを確認し、敷地内から逃げ出さない環境を整えましょう。
⑧ぺットレスキューステッカーとは?
「ペットレスキューステッカー」は、災害時に家に残されたペットを救助してもらうために玄関先に貼るもので、ネットで手軽に購入できます。
このステッカーを見た人がペットを安全な場所で保護する可能性がありますが、一方で、知らない人が自宅に出入りする防犯上のリスクや、ペットが確実に助かる保証がないという点も考慮する必要があります。
そのため、利用する際は長所と短所をよく考えましょう。
⑨ぺットと避難所へ
災害時、ペットの管理は飼い主の責任であり、政府の指針によりペットと一緒に避難することが推奨されています。
しかし、実際にはペット不可の避難所もあり、ペット可の場合でも、避難所内で別の場所で生活することが一般的です。
動物アレルギーや動物嫌いの人、小さな赤ちゃんなどがいるため、規制は必要です。
また、災害時は人の命が優先され、ペットのための支援物資は期待できないことを理解しておく必要があります。
➉ぺットのしつけと飼い主のマナー
避難所でペットと快適に過ごすためには、日頃からペットのしつけと社会性を養うことが重要です。
特に子犬は3~16週齢で社会性を身につけやすいので、外の音や人、他の犬種に慣れさせることが大切です。
噛み癖や吠え癖などの問題行動が体調不良に起因することもあるため、必要に応じて専門家に相談することも重要です。
ペットが避難所に馴染むように、日常的に様々な刺激に触れさせることが望ましいです。
また、避難所でのマナーも大切で、他の人が動物を不快に思う可能性を理解し、ルールを守りつつ、配慮と感謝の心を忘れないようにしましょう。
⑪避難所からぺットのお世話に通う
自宅避難がベストですが、ライフラインの問題やペット不可の避難所の場合は、別の選択肢を考える必要があります。
ペットを自宅に残して、日々の世話をする方法は、ペットにとって住み慣れた環境でのストレスが少ないとされています。
また、動物病院やペットホテルに預けることも選択肢の一つです。
ここで重要なのは、ペットがその場所に慣れていることがストレス軽減につながる点です。
避難生活が長引く場合は、親戚や友人宅での一時預かりも検討しましょう。
⑫ペットと車で避難生活
災害時に避難所でペットが別エリアになることから、多くの飼い主が自家用車でペットと共に過ごすことを選ぶ人もいます。
この際、熱中症やエコノミー症候群には特に注意が必要です。
実際に車中泊中の飼い主がエコノミー症候群で亡くなり、ペットも亡くなる事故が起きています。
また、ペットによるトラブルも考えられます。
窓を開けたり、ドアをロックしたり、リードが体に巻き付くことがあります。
飼い主が一時的に車を離れる場合は、ペットが運転席に近づかないように対策をしてから離れることが重要です。
まとめ
災害はいつどこで起こるかわかりませんが、ペットを守る防災は、今から取り組めることもあります。災害が起こる前も起こってから被災しても基本的な考えを日ごろから意識しておきましょう。
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