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ペインクリニックで片頭痛治療を受けてみた

みなさんこんにちは。
今日も頭、痛いですね。
あまりにも酷い片頭痛発作の連続で起き上がることもできず、最低限の食事シャワートイレ以外日常生活もままならない毎日を送っていた三毛根子と申します。

さて、頭痛持ちのみなさんは頭痛をどこかの病院に相談していますか?
とりあえず近所の内科に行ってみた方、頭痛外来で専門的な治療を受けている方、市販薬を飲んで耐えている方、様々な状態の頭痛持ちがいると思います。

しかし、ペインクリニックで頭痛の治療を受けている方は少ないのではないでしょうか。

私自身も、実際行ってみるまでペインクリニックって何?どんなところ?私が行ってもいいの?よくわからん……怖……と思っていました。
けれど、通ってみると先生は親切で、通院もラク、頭痛にも効果がありました。
今日はそんなペインクリニックについて、私の体験談をお届けします。

ペインクリニックで受けられる治療については以前書いた記事

でも少し触れたのですが、今回はもうちょっと詳しく解説します。

頭痛外来でできることはやり尽くしたという方、ペインクリニックの受診を検討している方、ペインクリニックって何?知らなかった!という方のお力になれればうれしいです。


ペインクリニックにいこうと思ったきっかけ


時はたしか2021年の秋くらい。
2021年5月に抗CGRP抗体注射薬(エムガルティ)による治療を開始してから、私の頭痛状況は少し良くなっていました。

(注射薬のレポートはこちら)

横になっても唸るほど痛かった頭痛は少しマイルドになり、痛みのレベルが下がりました。
全身を轟かすかのように脈打つ頭頂部の血管の痛みも数回に1回程度になり、QOLが格段に上がりました。
しかし、まだとても元気に動き回れるような状況ではありませんでした。

「横になっていても耐えられない、のたうち回るほどの痛み」が「横になっていたら何とか耐えられる程度の痛み」に進化したに過ぎなかったのです。
私はなんとかもう少し元気になれないものかと、Google検索で「頭痛 対処」とか「片頭痛 治療」とか入力する日々を過ごしていました。

頭痛外来でやれることはもうすべてやった。
予防薬も頓服薬も漢方も注射薬もやっている。
回数を経ることでエムガルティがもっと効いてくれればいいけれど、もう少しほかのアプローチはできないものか。
毎日発作で起き上がれず、虚空を見つめるなどしながら必死に情報を集めていました。

するとある時、気になる情報が目に飛び込んできました。
神経ブロック注射」という言葉です。

神経ブロック注射って?


調べてみると、神経ブロック注射とは痛みを感じている神経付近に麻酔薬を注射し、痛みを取る治療法とのことです。
一時的に痛みを取るだけでなく、興奮した神経を落ち着かせ、休ませることで痛みの悪循環を断ち、じわじわと快方に向かわせることができるというではありませんか。

それは片頭痛にぴったりなのではありませんか!!!?

片頭痛のメカニズムはまだ詳しくは解明されていないそうですが、自律神経とか三叉神経とかが関与しているらしいです。
加えて、頭痛に特有の症状として薬物乱用頭痛という非常に厄介なものがあります。
頭痛薬を飲めば飲むほど頭痛の閾値が下がり、神経が過敏になってちょっとしたことでも痛むようになってしまうのです。

毎月30~50錠ほどの頭痛薬を飲んでいる私は、この神経が過敏になるという現象を身をもって知っています。
だんだん薬を飲んでも効かないようになっていき、痛みの程度も酷く、頻繁になるようになってくるのです。
しかし、痛くて痛くてたまらない時に薬を飲まないというのも難しい話で、なかなか減らすことはできません。
まさに私は痛みの悪循環の中にいたのでした。

私は神経ブロック注射のことをそれまで全く知らなかったのですが、こんなにうってつけの方法があったのかと驚きました。
痛みを取るのも、神経を休ませるのも、片頭痛に一番必要なことのように思えます。
私は一縷の希望をかけ、Google検索をしまくりました。

するとわかったのは、体の様々な神経・痛みに対して神経ブロック注射は有効であること。
適応症例の中に頭痛(片頭痛)も含まれていること。
保険適応の治療であり、3割負担で受けられること。

こんな治療があるなんて思いもしなかった私です。
「でも、お高いんでしょう?」とか思っていました。
たとえ自費診療でも、この痛みを一瞬でもなんとかできるならやりたい!!とそういう気分でいたものですから、保険が効くと聞いて心は狂喜乱舞しました(体は寝込んでいましたが)。
こうなっては、もういかない理由はありません。

ペインクリニックってどんな場所?


どうやら神経ブロック注射はペインクリニックという場所で受けられるようです。
ペインクリニックとは、皮膚科や耳鼻科のように特定の器官を専門とするのではなく、「痛み」を治療することに特化した病院だそうです。
そんなに数が多くないようで、都内に住んでいる私でも電車でそれなりに移動しなければ最寄りのペインクリニックはありませんでした。

病院は近くないと通いにくい、しかしはじめていく場所で不安もあるから失敗はしたくない。
どこにいくべきか悩み、いろいろなペインクリニックのHPを読み漁りました。

痛みが専門というだけあり、椎間板ヘルニアや帯状疱疹、肩こりからがんの痛みまで多様な疾患を診てくれるようです。
しっかりページを隅から隅まで見て、頭痛に関する記載があるのを確かめながら病院選びをしました。

最終的に家から1時間ほどの距離にある病院に目をつけ、予約を入れることに成功します。

いざ、はじめてのペインクリニック


ドキドキで迎えた予約の日、頭痛発作で外に出られなかったらどうしようかと不安で仕方ありませんでしたが、何とか辿り着くことができました。
余談ですが、余裕をもって早く出過ぎてしまい、午後一番の予約だったため昼休みで病院が開いておらずしばらくドトールで時間を潰すなどしてやりすごしました。

気を取り直して再び病院に向かい、受付をします。
ペインクリニックってなんや……どういうところなんや……と威嚇する野生動物のような気持ちで足を踏み入れましたが、病院内は白を基調とした内装でとっても爽やか。
スタッフさんたちも明るい様子です。
今までいったことのある皮膚科や耳鼻科などの病院とそう変わらないように思えました。
何が飛び出してくるのかと身構えていましたが、そんなに怖がることはなかったようです(怯えすぎ)。

受付をしたら問診です。
どこが痛いかを記述する問診と、心の健康度を測るストレスチェックシートのようなものが2枚。
痛みのほうの紙にはいつから痛いのか、どこが痛いのかなどを聞かれる項目があり、切実な頭痛状況をこれでもかと書き込みました。
ストレスチェックのほうは何段階か選択肢がある中から選んで、最終的に出た点数を合計するタイプだったと思います。
サクッと書いて待ちます。

10分もしないくらいで呼ばれ、診察室へと入りました。
先生は中年の男性で、優しそうな雰囲気です。

「頭痛がやばいんだってねぇ」
「やばいですねぇ」
「メンタルもほうも大分きてるねぇ」
「体が悪いとしかたないですねぇ」

そんな会話をした覚えがあります。

たしかこの時のストレスチェックは30点満点で、30点が一番最悪、0点に近いほど健康という感じでした。
私は26点くらいだったと記憶しています。
健全な魂は健全な肉体に宿るとハガレンでも言ってましたからね。
体が健康じゃない時点でメンタルもお察しというわけです。

「頭痛外来にも通っていてできることはもうすべてやったけど頭痛が治まらない。なんとかしてくれ~」と訴える私に、先生は肩甲背神経ブロック注射というものを勧めてくれました。

神経ブロック注射は体中のいろいろな神経に対してできるようで、いろんな名前の神経ブロックがペインクリニックのHPには載っています。
肩甲背神経ブロックは背中の後ろから指す神経ブロック注射とのことです。
副作用などの説明を受け、同意書にサインをしました。

(※ちなみに、副作用と聞くと身構える方もいらっしゃると思うのですが、その内容は「ちょっとした出血」とか「注射が痛い」とか「不潔にすると感染起こるよ」とかのささやかなものでした)

はじめての神経ブロック注射


注射は座ったまま行いました。
先生のほうに背中を向けて、シュシュっと消毒されプスリ。
片側4~5か所くらい、それを左右に打たれます。

ちょっとチクッとしますが、針が細いので耐えられないほどではない痛みです。
エムガルティのほうが5倍くらい痛いです。

鍼治療を受けたときのような響く感じがあって、なんだか効いてる気がします。
最後に採血などの後に貼る、あの四角い絆創膏を貼ってもらって終了。
開始からものの1~2分です。

あっけないくらいあっという間に、はじめての神経ブロック注射は終了したのでした。
あとはお会計だけですが、5000円もしなかったと思います。
保険が効くのは調べて知っていましたが、こんなにすごい治療なんだからすんごい値段がするのでは!?と心のどこかでまだ疑っていただけに良心的なお値段で衝撃を受けました。

帰り道、早くも神経ブロック注射の効果が出たのか、はたまた気分の問題かはわかりませんが、私の心はちょっと晴れやかでした。
最新の注射薬治療までしたけれどいまいち元気になり切れず、「もうこれ以上できることはない」と欝々としていた心が「まだできることがあるんだ」「続けていけばもっと良くなるかもしれないんだ」という一筋の光に照らされていました。

それと同時に、「こんなにいい治療があるのに、なんでもっと宣伝しないんだ?」「こんな方法があるなら頭痛外来とか、ほかの病院の先生も教えてくれればいいのに~」と思う気持ちもありましたが。

いやー本当にもっと早く知りたかった!

肩甲背神経ブロックの効果


神経ブロック注射の効果は早くも現れました。

ペインクリニックに行った翌日と翌々日、なんと頭痛が止まったのです!!!!

たった2日ではありますが、これは当時の私にとっては革命的なことでした。
ほとんど毎日数時間ごとに頭痛発作がやってきて、朝元気でも夜は寝込んでいるみたいなことが日常だったからです。

丸1日頭痛とおさらばできるなんて、奇跡に近い。
しかもそれが2日も続くなんて。

そこを過ぎると相変わらず頭痛が顔を出してはきましたが、これは大きな成果です。
私はすっかりハッピーになって、翌週もペインクリニックに予約を入れました。

スーパーライザー治療開始


しばらくはそうして、週に1回神経ブロック注射を打ってもらい、1~2日元気になってはまた頭が痛くなって這ってペインクリニックにいくという生活をしていました。

「続けることでじわじわ良くなるから、しばらくは同じ治療を続けていきましょう」とのことで、肩甲背神経ブロックを受けること3回くらい。
打つたびに若干元気な時間が増えているようないないような……?といった感じでした。
先生ともうちょっと良くなるといいね~という話になり、勧められたのがスーパーライザーによる治療です。

「首の前に光をあてる治療法で、横になって10分おやすみいただくだけです」とのこと。
なにそれ簡単。

なんでも神経ブロック注射と併用ができて、自律神経を整える効果があるとか。
光を当てるだけなので、副作用も特にないそうです。

頭痛が良くなる可能性があるなら何でもしてみたい私です。
きっと頭痛が良くなるツボとか売りつけられても買います。
さっそくお願いすることにして、機械のあるお部屋へ。

スーパーライザーというのはロボットのようなアームが付いた人の背丈くらいの機械でした。
ベッドに寝転んで、そのアームの先を首の前、鎖骨のちょっと上あたりに向けてセッティングしてもらいます。
スイッチを入れるとピピッ……ピピッ……と音がしはじめ、これで終了。

タオルケットをかけてもらって、私は機械が止まるまでの10分間リラックスしていればいいだけでした。
これまたなんともお手軽です。

痛んだり熱かったりすることはなく、音がしていなければ何をされているのかわからないくらい、本当にただ寝てるだけです。
本当にこれが効いてるのか?と思いつつも、スマホを手放して10分間何もしないでいる時間はなんだか考え事が捗って、とてもいい感じでした。

これもまた「最新の機械を使っているに違いない……お会計が大変なことになるのかも……」と疑っていましたが(疑り深い)お会計もいたって良心的。
たしか数百円増えた程度だった気がします。
神経ブロックとスーパーライザーあわせて1000円でおつりがくるくらい。
初回は初診料がかかったのでもっとしましたが、通いだしてからは毎回そんな感じです。

この日から神経ブロック注射→スーパーライザーをセットで継続することになり、毎週ペインクリニックにいきこのセットを受けることがルーチン化します。

ちなみに、あとから調べたところ、この治療の正式名称は『近赤外線治療器による星状神経節照射』というようです。
副交感神経を優位にして自律神経を整え、全身の不調をじわっと改善する効果があるとか。
気になる方は検索してみてください。

ペインクリニックでの治療を続けてみて


2023年6月現在、毎週1回のペインクリニック通院を始めてから1~2年が経過しました。
治療の成果が出たのか、私の頭痛はかなり良くなっています!!

抗CGRP抗体の注射薬や日々の運動なども続けているので、ペインクリニックの力のみとは断言できないのですが。

しかし、ペインクリニックを知る前の私は常に痛みで動くことができず、軽い運動で体力すらできない状態でした。
それが神経ブロック注射をしてもらってからは、痛みが麻痺している期間にジムに通ったり、筋トレをすることができるようになりました。
これは革命です。

片頭痛持ちの方にはご理解いただけると思うのですが、片頭痛持ちが運動をするのは大変難しいです。
運動して血流が良くなることで頭痛が出たり、弱めの発作の時を狙っても頭が揺れ動くような運動は発作が悪化して、痛みがひどくなったり吐き気が出たりするからです。
効率よく体力をつけられると話題のHITトレーニングなんてできたものじゃありません。
激しい上下運動で頭がぐわんぐわん動いて1セットで即死です。

けれども、運動は健康作りには必須。
片頭痛患者とて例外ではありません。

多くの病院のHPにも発作がない時は体を動かして、というようなことが書いてあります。
しかし実際の片頭痛患者(私)は常に発作があるため動けません。
この「運動はしたほうが頭痛にいいが、頭痛があるため運動できない」というアンビバレンツは長年私を悩ませてきました。

それを神経ブロック注射は解決してくれたのです!!

週に1日でも元気だとわかっている日があるのなら、その時運動できます。
私は近所のゆるめのジムに入会し、あまり激しくない運動メニューをこなすことができるようになりました。
トレーナーさんから食事に関する指導もいただけ、頭痛頭痛で常に吐き気がしていたため毎日カロリーメイトのゼリーで生きていた食生活も少しずつ改善。
徐々に体力がつき、私は以前よりだいぶ健康になりました。

そのような経緯があり、日々の運動ができるようになったのもペインクリニックの貢献が大きいので、やはりペインクリニック偉大だなと思います。

一時的に痛みのない時間を作るのみならず、『神経を休ませて、患部の状態を改善させる』効果もきっちりと発揮されていると思います。
昔に比べて頭痛発作が起こっても、出る痛みの程度が下がったのです!

痛みレベルを10段階で表すと、以前が14(飛び出しとるやんけ)くらいだったのに対し、いまは酷くても7くらい。
多くの日は5くらいの頭痛になり、体感すごく楽になりました。

相変わらず毎日のように頭痛自体はあるのですが、ひとつひとつの頭痛が弱くなった感じです。
薬で撃退できることもぐっと増え、発作からその日のうちに復活できることも。

最初は「本当に効くの?おまじないじゃなくて?」と疑っていたスーパーライザーも、どうやら効いてるような雰囲気を感じます。
いろいろな治療が折り重なって効果を発揮しているので、一口に「これがここに効いたよ!」とはいい難いのですが、体のちょっとしたトラブルが減ったような気がしています。

年単位という長いスパンですが、治療を続けていた甲斐はあると感じています。

頭痛外来でも救えなかった頭痛にペインクリニック、おすすめです


ちなみに、ここまでお伝えしてきた通りペインクリニックでの治療は片頭痛に対して大変有効で、私は感動さえ覚えたのですが、こういう病院があることは特に誰も教えてくれません
頭痛外来とか他の病院から案内されるとかもないです。
私は自力で調べて辿り着きました。

こんなにいい治療があるなら頭痛外来と連携したらいいのに~

いろいろな病院に通って方々で頭痛を訴えていますが、本当にペインクリニックのペの字も聞いたことがなかったので、私がいっていいのだろうか?場違いじゃないだろうか?とすごいビクビクしながら受診したのですが大丈夫でした。
むしろ神経ブロックもスーパーライザーも、頭痛患者にこそ必要なのでは!?と思うくらい頭痛治療にうってつけ。
クリニックの窓にも片頭痛患者向けのポスターが貼ってあり、頭痛患者カモンの雰囲気です。

もっと知られて~!?
なんでこんないい治療が知られてないんだ~!?

まず通える場所にペインクリニックがあるのかとか、通院する時間を確保できるのかとか、毎週行くのは大変じゃないかとか、注射こわいとか、様々なハードルがあるゆえに万人におすすめできるわけではないのですが、超重症の片頭痛患者さんには選択肢の1つになると思います。

常に発作があり、日常生活も満足に送れない、起き上がることができないという方は是非1度ペインクリニックの受診を検討してみてください。
まだできることがあります!!!!
少しでも頭痛で悩む方が減りますように。
それでは。

参考文献


東京ブロック注射クリニック よくわかる!ブロック注射
https://www.kaoru-pc.jp/nerveblock/

一般社団法人日本ペインクリニック学会 ペインクリニックとは
https://www.jspc.gr.jp/igakusei/igakusei_about.html

中野区医師会 ペインクリニックって何するところ?
https://www.nakano-med.or.jp/topics/2016/12.php

香川県立中央病院 片頭痛の治療について
https://www.chp-kagawa.jp/department/a009/detail010/

医療法人社団慈鴻会麹町内科 スーパーライザー(近赤外線治療器)について
https://www.koujimachi-naika.jp/treatment/super_riser/

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