It's a beautiful day, Isn't it?

大学1年の必修英会話こんな定型文を毎回みんな言うことになってた。

プラスチックのような味気ないそれらの言葉には嫌気もさしてくる。
好きなモノを聞いては、「good/me too…」で毎回おわってしまう。

毎週繰り広げられる劇をよそに、その日も私は窓側席から見える家の洗濯物が揺れるのを見ていた。

あの講義が何の役に立ったか。それは砕けた英語の素晴らしさへの気づきである。当時の英会話の講師はカナダの方で、彼は文法や単語の言い間違いは漏れなく指摘する。２人１組で会話させてミスがあれば指摘されて席へ強制ログアウト、というのを永遠繰り返すのであった。

一応英語クラスはTOEICスコアで松竹梅振り分けられてて私が所属するクラスは松だった。みんな読み書きはできるのであろうけど、私を含め会話はボロボロだった。

形式とレベルがギクシャクする。せっかくノッてきたのに、とか普段この人と話さないけどこの話したいなとか各々が思っていたとしても、そこに鎮座する教授が「Stop」と言えば会話は終わる。不思議な世界。

そんな不思議な世界にも慣れた頃。学部でも少し変わっていることで名が知れている子がその世界を一時的に歪めた。

その日は大雨が降っていた。

元気か尋ねた後、定型文では「あいにくの天気ですね」がくる。
当然相手の女の子もそういう頭で前に立つ。
しかし彼は「いい天気ですね」と始めたのである。
したり顔の彼と動揺する女の子。

教授もルーチンが崩れたことに唖然としたのちに「Stop」をかけ、彼に正気か聞いていた。

講義が終わった後、同級生は口々に「あいつやばいな」「あれで面白いとおもってんのかな笑」彼のふざけに冷笑してた。実際僕もその中の1人だった。(というより彼の素行の悪さからもそう思わざるを得なかったのだけど。)

そうは思いつつ、あの講義自体にもモヤモヤはある。形容しがたいこのモヤモヤを抱えたまま講義を終えた。

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大学４年生。大学主催のオンライン英会話に応募してみたら見事に選ばれ、受講することになった。女子大と合同と言うこともあり、邂逅にも期待しての参加。

1年生の英会話からはだいぶ時間がたったし、旅先で独学英語を使ったり、英字の報道や映像も目にしていたから実験的にどれくらい盛り上がれるのかが楽しみだった。

散々だった。デジャビュだろとしか言いようのないあの空気。懐かしさにニヤニヤしながらも、次の言葉にドギマギするあのもどかしさは1年の頃とさほど変わらなかった。

テーマが「大学生活」と範囲が定まっていたこともあり、相手が何を言っていて何を要求しているのか、それに対して最低限の答えがかろうじて言える。それだけだった。

散々だったことはそれだけではない。
1年生で抱いていたあのモヤモヤが再来したのであった。

当時のように文法や単語を指摘してくるというものではなかった。しかし、やっぱり不思議な世界。ZOOMを使い複数人で行うのに話者以外はミュート、人によっては顔が見えない。

各々はそれぞれが予習してきたものを披露する。それは全くもっていいのだが、アドリブに弱い。ドギマギする講師とノーリアクションの生徒。空気の重さで言えばもはや1年の頃を越していた。

さすがに耐えられなくなった私は、切り札の「文学部あるある」で何とか場を切り抜け。イロモネアだったらクリアしてた。(つたわれ)

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二つの不思議な世界に共通することって何だろう。

結論から言って「日常会話を意識しているのにもかかわらず、日常会話では到底起こり得ないことがそこで起こっていることへの違和感」だと思った。

「英会話をできるようになるなら仕方ないでしょ」と思うかも知れない。　ここで私が問いたいのは「何を目的にここで英会話にトライしてるのか?」である。

単に英会話が上達したいのか、人とのコミュニケーションを上手くとれるようになりたいのか。様々あるであろうが、私は人とのコミュニケーションをうまくとれるようになるために言語を学ぶ。

そういう目的意識を持った私にとって、不思議な世界たちは違和感でしかなかった。第三者によって会話が遮断される、複数人がいるのに講師と話者以外はノーリアクション。これは日常コミュニケーションとは程遠い。

1年生の大雨の日、変わった彼のいい天気ですね事件に関しても同じ。
私は文学部に所属している手前古典文学にも触れているのだけど、雨を愛でる和歌やポジティブな表現としての雨を多く見てきた。

日本だけでなく海外の映画でだって、雨が効果的に使われることもある。

違和感の１つは[雨＝悪い天気]というバイアスで、それによって日常的なコミュニケーションの多様性は削がれていた。雨好きな時もあるし。

今や世間では"表面的"にはありふれているが、個人にとっての「美しい」はそれぞれである。それを知らずに彼を咎めてしまったことを恥じる。

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今回の英会話を巡る2つの話で私が結局何が言いたかったのか。

まとまりのない冗長でたらたらとした文章。「時間の無駄ﾜﾛﾀ」と思われても仕方がない。でも本来言語なんて,これ位いい加減でもいいのではないか。

最低限気持ちが伝わればあとはどうにでもなる。その気持ちを私は「矢印」とか「スタンス」と読んでいる。

それに、表現なんて使っているうちに深まっていくモノであろう。コミュニケーション相手から教わる場合もある。

台湾、台北のローカルエリアでは日本語が通じずほとんどが英語での交渉だったが友人はギャラリーで限定品のポスターをゲットしていたし、私もホステルの人と話したり、ホストファミリーと交流ができたりした。

その旅の中でホストファミリーの家がわからずウロウロしていた時、事情を道のおっちゃんに話したら「とりあえずチキン食べな」ってチキン貰ったこともあったな。笑

最近台湾のアーティストやブランドなどと交流ができるあるイベントに参加した時、台湾中国語講座でレクチャーを受けた。そこの講師生活芸人田中さんも、いわゆる教科書のお勉強ではなく、空耳中国語やカルチャーとしてのゴガクなどを展開している方。

PROFILE of tanaka.com

彼から教わる台湾の中国語はフフッと笑えるところもあるし、コミュニケーションに特化しているからより砕けた日常会話や現地の人に近いゴガクが学べる。

日本ほど敬語がありきっちりしている国も多くないとは日本人の私たちでも知っていることだけど、台湾ではそういう形式もよほどフォーマルな場でない限り気負う必要がない。

だからこそ相手と親密になるには逆に砕けたより近い表現が求められる。「はじめまして」「お元気ですか」「私の名前は」「よろしく…」
も大事だが、台湾中国語のレクチャーを受けた私としては
「やぁ」「カイだよ」「夢はオードリータンと話すこと」「コーヒーが好きだからカフェに行かん？」くらいが自然なのかな〜と思う。

最初から言語を思うがままに使える者などいるわけがない。日本人のほとんどは詰め込み教育のせいもあってか正確を求めるが、同時に即効性も求める。

2000文字を超えるnoteの最後が味気ない、と思いつつ、結局は「コミュニケーションを楽しめる人が言語を制す」であろう。

言語はツール。ビジネスや日常で楽しみながら学べる人はきっと伸びる。

とか言いつつ、私は未だに台湾中国語を学び始められていないんだけど。

「今天天氣很好，不是嗎?」

拜拜👋