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「忌怪島」に見る「ジャパニーズホラーの様式美」についてと単なる感想文。

「忌怪島」観ました。SNSを見るとまたもや賛否両論らしく.......。

概ね自分は「清水崇」監督の駄目な所も好きなので、難なく楽しめました。

前作の「村シリーズ」と言われる都市伝説や噂に纏わる「村」についての話しを題材にオリジナルのホラーストーリーとして描いた一連のシリーズ。
無論僕は、この一連のシリーズも充分楽しんだんですが、世間様、特にホラーファン(マニアほどじゃないにしてもそこそこ好きな人達)にとっては「怒りの対象」らしくて、ホラーファンや都市伝説、オカルトファンの描いていた「村に纏わる話し」では無かった様で最早「禁忌」扱い。
そして村シリーズは3作をもって終了。
そして装いも新たに今度は「島」を題材にした話しをオリジナルストーリーで映画化。
現代に於けるバーチャルリアリティのデジタルコンテンツの発達と島に伝わる因習、禁忌、呪いをクロスオーバーさせて天才プログラマーのコミュ障青年とそのバーチャル空間を研究している若者達、その島で不可解な死を遂げた父親の遺骨を引き取りに来た娘らが村の禁忌と呪いに立ち向かうストーリー。
そこに島である事件があって村八分になっている老人と心優しい老人を世話する少女が絡んでいく。
字面だけ見たら面白そうですよ!
っうか自分は楽しめました。

で、何が気に入らないのか?
まぁ演出のパターン化?ある意味そこが監督の色でもあると思うんだけど、それが多分目新しさが少ない所なのだろう。
そして、相変わらずの予算の少なさが映像にどうしても見え隠れしてしまうという事。
東映さんの悪い所がしっかり出ている所だろう。
予算少なく数打ち当たれ!制作。
シリーズ化に於けるマンネリ化。
まるで呪いの様な「呪怨」、「リング」等の生写し展開と演出論。(自分はそこまで思っていないけど)
観ている観客に刷り込まれてしまってるジャパニーズホラーのレジェンド映像を越えられてないという所も大いなる原因なのかもしれない。
なんとなく予想しうる点をあげてみた。
所謂「様式美」として観られるのか?って所も大分評価も分かれる所なのかも。

清水崇監督は、今や「世界の」が付くほどの監督になって色々なジャンルを卒なく撮れる監督さんになった。
で、そんな監督さんでも、「好きだからホラーを撮る」という訳で最早なく所謂「仕事」プロジェクトとして色んな人と切磋琢磨し意見を戦わせながら作品作りをしている。この手の映画の特徴として、やっぱり「プロデューサーの意向」ってのが1番に作用されてる様なので監督が独占してって訳でもない。
まぁでも清水監督の趣味として細かい設定やギミックに力を入れる思考が強いが、今回は全て思い通りに監督の意向を込められてたかは難しい。
そして昔から思っている事なんだが、清水監督はSF好きなんだろうなって。
今回の作品はデジタル要素を織り込んでそこに怨みや呪いを絡ませていて最早純粋ホラーというよりもSFと言った方がいい。
あの空間が歪む、ワープする。って要素は諸々SF要素たっぷり。(まぁそれが嫌いって言う方も多々いらっしゃるので)
だから彼の作品をホラー映画として観るのか?SF(此処では広い意味での)映画として観るのかで全く印象は違ってくるんじゃないかと思う。
でも配給会社や宣伝業者にしてみたら「ジャンル分け」は必須であの清水監督がって言ったら「ホラー映画」として宣伝するのが手っ取り早い。
仕方ない事だと思うけど、そこら辺でも損していると思う。

そしてやっぱり最大の問題は東映の体質にあるのだと思う。
これはあえて言わせてもらう。
ホラーコンテンツ、ヒーローコンテンツ、アニメ等一緒くたにして「ガキモノだからそこそこの予算で手癖で大量生産すれば儲かる」「グッズ等ちょっとポップなモノを売り込めば売上になる」みたいな昔からある「悪い体質」が抜けきっていないからだと思う。
そうじゃないですと言うかも知れないけど、それが「映像に見え隠れしている」からこそファンは敏感に感じるから「怒る」んだろう。
実際問題として自分ですらそれはいつも感じる。
今回も感じた。正直。
そこら辺をなんとかしないといつか日本が作り上げた「ジャパニーズホラーコンテンツ」が衰退していく日も近いと思う。
純粋な恐怖なら正直YouTubeの心霊系チャンネルを観ていた方が数億倍怖がれる。

それが今の現状なのだ。

長々と歯切れの悪い事を書いたが、個人的にはやっぱりストーリー重視なのでお話しは新しいやってそうでやってない要素も盛り込んであって楽しく観られました。
そんなに怒るとこなのか?と疑問に感じましたが、感じ方は人それぞれなので。

後、キャスティングに関して、映画でしかも人気コンテンツなので仕方ないとは思うけど、あれだけの美男美女がプログラマーって余りにもリアリティに欠けません?
仕方ないとは思うけれども。
観た日に「ミーガン」も続けて観ていて、やっぱり本気度って言うのかな?なんかこれを絶対観てくれ!自信作なんだよ!面白いだろ?って思いがそこ此処に画面全体に弾け飛んでるんですよね。
それに比べて日本の大手が手掛けるホラー映画って全部ではないにしろ、配給側の「なんとなく作っとけばうれるよきっと」みたいな呪いが映画に染み込んでいる気がしちゃうんだよなあ。いい意味でも悪い意味でも。
なんとなくですけど。

清水監督の次回作「ミンナのウタ」(またもやホラーモノ!!)に期待!

続く。

機械島じゃないよ!忌怪島!!

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