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抗体検査をやってみた その2

 その1で書いたように、私は2回、検査キットを使って自分の抗体を計ってみた。そもそも「線が出てくれば抗体がある」と言うが、ではどれくらいあるのか? その量で足りるのか? こんな検査キットで分かるはずもない。だが、私はこの時点で意地になっていた。2回とも測り方が悪かったのかもしれない。1回目は唾の量は足りなかったし、2回目は血液はたっぷり採ったが、試薬の混ぜ方が悪かったのではないか。ここまで気になってくると、引き下がれなくなってくる(いや、なにに?)。

その1の記事はこちら。

 実は私には、かかりつけ医が何人かいるので(疾患が多い証拠だ)、その1人の先生にファイザーの2回の接種で副反応がまったくなかったことについて相談したことがある。すると、その先生も医療従事者としてファイザーを打ったが、副反応はなかったのだそう。

「周りはけっこうあったみたいだけど、まあ仕方ないよね」

「先生、今後はどうするんですか?」

「3回目のブースター接種が必要なんて言われているけど、私も様子を見ながら打つと思うよ」

 やはりそうなるか。ただ、その後のニュースでカクテル療法が出てきたり飲む治療薬の研究が進んでいるようだし、日本のワクチンも年内には承認される時期が見えてくる。気にしてもしょうがないという結論で自分を納得させた。だがしかし! やはり検査キットでちゃんと検査するべきではないのか!? そういう思いが拭い去れない。採血時に血液の採りすぎではないのか? 試薬を2滴じゃなく3滴垂らしたほうが良かったのではないか? もたもたしているうちに採った血が固まったりしていないか? そういう妄想的な不安というか不満が頭をよぎるのである。

 じゃあ医者に検査してもらおうと思い立ってネットで調べてみた。家の近くでも意外とあるんだなあと気がつく。都内でも多いようだ。そこから駅の近くの病院を決めてさっそく予約してみた。「1時間後なら大丈夫ですよ」。よし行こう! 今度は6000円+税である。

 その病院は内科でなんだかビニールであちこち囲ってある。シートもビニールが敷いてあった。受付には完全防備の看護師さんがいる。おそらく発熱していそうな女の子の問診は、入り口近くの仕切られたスペースで行われていた。いまどきどこの病院もそうだろう。抗体検査だと告げると前の患者を診るので、呼ぶまで10分ほどかかるという。スマホゲームで暇を潰しているうちに声がかかる。診察室にはいると、これまた完全防備の医師が待っていた。そして「血を採りますよ」という。あれ、ネットと同じじゃん! 6000円もしたのだからきっと精密なキットなのだろう。僕の指に針を刺して血を採った医師は、それをキットに垂らし、試薬を入れた。「はい、では外で15分ほど待ってください。結果が出たら呼びます」。時間が長い! やっと呼ばれて診察室で見せられたのが冒頭の写真だ! やっぱり出ない!

「あれ、線が出ないねえ?」

「先生、抗体はどうなんでしょうか?」

「うーん、ないねえ」

「え、ないんですか? こういうのよくあるんですか?」

「初めて見たよ。本当に2回打ったんでしょ? もし詳しく調べたいなら血液検査で抗体の量を調べる方法もあるよ。ウチでも出来るし」

 この時点ではもういいやと思った。俺はやっぱり「抗体無し男」なのだ。もういいやマスクをきつく口に押しつけて、家に帰ることにした。。。


 


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