2年目社員が教えてみた!Vol.2: 新入社員研修の講師をやってみた!
講師をやってみた!
前回の『2年目社員が教えてみた!』では、私自身の実際の経験をもとに講師としての研修の復習、教科書の修正、リハーサルまでの準備編をご紹介しました。
今回は本番編ということで、新人技術研修が始まったところからお話しします。
Vol.1をご覧になっていない方は、是非こちら👇からご覧ください。
研修が始まった
やっとのことで準備が完了し、ついに、新人技術研修が始まりました!
約4ヵ月の間、講師として新入社員に技術を教えていきます。1年前は新人の立場として研修に参加していた私が、今は逆の立場にいるのかと思うと、「ついに、自分もここまで来たな~。」という達成感と共に「これから上手くやっていけるかな?」という不安や緊張が押し寄せてきました。
新人に教えてみた
1.新人をサポートしてみた
研修が始まり、まず、先輩講師が受け持つ講義のアシスタントとして、新人からの質問対応を担当したのですが…。
「予想以上に自分の説明が伝わっていない!」ことを実感しました。なぜ、分かってもらえないのか自分なりに原因を考えてみると、「新人と同じ目線で話が出来ていない」ことに気づきました。私は “ここまでは分かっているだろう”といった思い込みで説明をしていたのです。昨年の研修を受けていたころ、自分も「出題された問題の意味や処理の流れがイメージできていなかった」ことを思い出し、考えを改めました。
それでは、伝わりやすく説明するには、どうしたらよいのか?自分なりに工夫した点について2点お話します。
①絵を書いて説明
まず、1つ目は、絵を描くことです。分かりやすいように、C#で習うこととなる「クラス」を文章と絵で説明してみます。
『クラスとは、「モノの設計図」です。クラスには、操作にあたるメソッドと呼ばれる部分と、データにあたるフィールドがあります。クラスはあくまでも設計図なので、使用するには、「実際に動くモノ」であるインスタンスをメモリ上に作成する必要があります。メモリ上にインスタンスが無いとコンピューターが実行できないからです。なお、クラスからメモリ上にインスタンスを作成することをインスタンス化といいます。1つのクラスから複数インスタンスを作成できます。』
読者の皆さん、理解できましたか?では、こちらの文章を絵で表してみます。
文章の時より、イメージがついたのではないでしょうか?
このように、口頭だけでなく絵を描くことで要素の関係や構造など、具体的にイメージできるようになります。
②具体例を使う
次に、どんな時に使うのか具体的な例え話を交えながら説明しました。
例えば「抽象クラス」という同じ名前で処理を強制させる仕組みがあります。複数人で同じ処理のプログラムを書いたとしても、同じ名前で処理の流れまで統一された分かりやすいプログラムを作成できるという利点があります。
このような説明をする際、利用する場合のイメージやメリットについて、具体的な例を出して説明する事で理解を深めてもらうことができました。
2.メインで講師をやってみた
ついに、私が担当する講義が始まりました!私が教えるのはC#という言語です。
この日のために私はリハーサルを3回行い、上司から大丈夫とのお墨付きをもらっていました。準備はバッチリ!あとはリハーサル通りに進めば問題ないはずですが…。
①時間管理の難しさ
順調に進めているつもりでしたが、気づくと計画より遅れが出ていました。
実際に講義をしていると、「質問対応に手間取る」ことや「課題に思ったより長い時間がかかる」など、予想外のことが発生します。
研修期間は決まっているため、延ばすことはできません。どうすれば遅れを取り戻せるのか、講義時間を短くできるのか、遅れた場合どう対応していくのか等、事前に考える重要性を身に染みて感じました。
②臨機応変に対応する
また、想定外のことが起こった際に臨機応変に対応することも重要です。予想外のエラー対応や課題時間を延長する必要が出てきた際は、誰が対応するのか、どのぐらい延長するのかを素早く判断しなければいけません。
予め想定される問題の対応策を決めておくことや、状況を見て最善な判断をすることも講義を進める上で大切だと学びました。
OJTが始まった
山あり谷ありで進んできた研修も、いよいよ総まとめとなるOJTが始まりました。
まずはそもそも「OJTではどんなことをしているのか」についてご説明します。
OJTでは、新人が5~6人のチームを組み研修で学んだ技術を使って社内のシステムに追加開発していきます。新人は、要件定義から設計、製造、テスト、リリースまでの一連のプロジェクト工程を経験し、最終日にはプロジェクトの成果発表も行います。
その中で講師は、プロジェクトチームのリーダー兼顧客としてチームをサポートします。私の担当するチームは、社内のプロジェクトを審査する機能を作成することになりました。
1.OJTで苦労したこと
まず、要件定義から始めていきます。講師は新人のサポートがメインなので、適宜レビューなどするくらいで、そんなに手が掛かることは無いだろうと思っていました。
①システムについての深い知識
しかし、要件定義の時点でチームメンバーから質問が次々と飛んできて対応に追われました。新人はシステムの内容を知らないため、この機能はどのような作りになっているのか?この要件は具体的にどういったことなのか?など、どんどん質問が飛んできます。私もプロジェクト審査機能を実際に使ったことがなかったため、想像がつかないことまで質問されて戸惑いました。分からないところは、上司に確認し詳しい説明を受けて、私自身も知識を深めながら1つずつ対応していきました。
この時に概要だけを理解して満足するのではなく、ユーザー目線でどのように使うのか、どうしたら効率的に使えるのかということを考えることが重要だということを学びました。
②遅れの発生
その後設計は順調に進み、調子を取り戻したところで製造に入りました。するとまたここで問題が発生します。製造に予想よりも時間がかかり、大幅な遅れが発生してしまったのです。製造では、バグやエラーが次々と出てきて、チームのメンバーと私は原因究明に追われました。そのため、予定では1日で完成するプログラムに3日かかることもありました。
しかし、OJTの期間は延ばせません。どのように遅れを取り戻すのか、これ以上遅れないために進め方に無駄はないか、どの機能を優先させるのかなどを考えることの重要性を学びました。
2.研修の終わり
チームの協力のもと、何とかテストの段階で遅れを取り戻せました。チームも満足できるシステムが完成し、いよいよ先輩社員や上長に発表することになりました。
OJT成果発表
成果発表会はリハーサル通り順調に進み、無事時間内に発表を終えることができました。ほっとしていたところ、チームメンバーから「自分たちチームが一番いいものを作ることができた」「講師を担当してくれたのが先輩で良かった」など、お礼の言葉をもらって「いろいろと大変だったけど、講師をやれて本当に良かった」と泣きそうになるくらい嬉しかったです。
おわりに
今回、講師の経験ができたことで技術的な知識を得られたのはもちろんですが、一番の学びは相手の目線で考えることの重要さです。ただ知識を伝えるだけでなく「どうしたら分かりやすく伝えられるのか」を相手の目線に立って考え、より良い講義や質問対応ができるか考えて実行しようとする姿勢が重要なのだと感じました。この経験を今後の仕事でも役立てていきたいと思います。
これまで2回にわたり、私の講師経験や学びについてお話してきました。
読者の皆様に何か伝わったものがあれば幸いです。
※本記事は、三井情報Webサイトで掲載しているMKIナレッジを転載したものです。