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2年目社員が教えてみた!Vol.1: 新入社員研修の講師をやることになった!

はじめに

三井情報では、技術部門に配属される新入社員に対して「一からプログラミングを学ぶ」新人技術研修が4ヵ月間あり、プログラミング未経験者でも安心して学べる環境があります。私もプログラミング未経験者でしたが、この研修を受けたことで、なんとか自力でWebアプリケーションを作成できるようになりました。
試行錯誤していた研修の終盤に差し掛かったころ配属先が発表されたのですが、なんと私の配属先が新人技術研修を運営している開発技術部になったのです!

今回のMKIナレッジは、「私が新人講師として立つまでの過程」と「MKIの新人技術研修ではどんな研修を行っているか」について、自身の体験を振り返りながらお話しいたします。

1年目の私の様子

私は文系大学出身で、学生時代はプログラムに触れる機会がなく、新人技術研修ではなかなかコードを書くことができませんでした。講義を聞いて理解したと思ったものの、いざプログラミングしてみると上手くいかず、先輩の講師に助けを求めることも多々ありました。講師の方からは、エラーメッセージの読み方やコードを一つずつ動かして確認するデバッグ機能の使い方などをアドバイス頂き、だんだんとコードが書けるようになっていきました。
そういった状態を繰り返す日々を経て研修も終盤に差し掛かったころ、配属先が開発技術部との発表がありました。な、なんと、この私が来期の研修講師になることが決定したのです!
私より優れた同期がいる中で、コミュニケーションに自信がなく、コードも調べながらやっと書いているような私がなんで講師?という驚きと疑問、また私が新人に教えることができるのかという不安でいっぱいでした…。

準備が始まった

1.見直してみた

来期講師をやるということで、まずこれまで研修で学んだことを復習してみることにしました。ですが、何ということでしょう~!!!
テキストや研修で実際に書いたコードを見てみると、所々忘れていることに驚きました!
講師になるためには、研修の内容を隅々まで理解して、新人の不明点をなくすように説明しなければいけません。そこで、私が実際に受けた講義の録画を見直し、プログラムをより深く理解するために書籍を購入し、自己学習を行いました。

ここで必要だと気づいたことは、実際にプログラムを書いて動作を確認することです。
テキストや動画を見ただけでは、完全に理解したとは言えません。一つ一つコードを書いてデバッグしながら動作を確認してみることが大切です。これを繰り返すことでプログラムの中身や流れがより深く理解できるようになりました。

2.修正してみた

一通り理解し終わって一安心していたところ、来期の研修準備が始まりました。
まず、テキストの見直しです!今期の受講者のアンケート結果を踏まえ、テキストをより分かりやすくするため、補足説明や図を加えていきます。それに加えてC#、.NETのバージョンアップがあったため、テキストの内容を大きく変更することになりました。

具体的に何を変更したのか二点紹介します。

①目的を明確に
アンケートでは「分からないまま進んでしまった」「一つの範囲が終わったら復習する時間が欲しい」といった回答がありました。そこでまず、受講者に章や節ごとに何ができるようになるのかイメージを持ってもらい、「目的を明確にして学習を進めることで理解しやすくなるように」と考えました。
具体的には、各単元の区切りごとに【この節でできるようになること(なったこと)】を追加して「この節では何を理解できれば良いのか」を、講義前と講義後に確認するようにしました。また、これに加えて、単元ごとに復習の時間を設けるようにし理解度の向上を図るようにしました。

②C#、.NETのバージョンアップに伴う変更

今年度、研修で扱うプログラム言語に大幅なバージョンアップがあったため、テキストに影響がある変更点を調査し、変更があった場合には修正していきます。
C#の変更点の一例として、Mainメソッドや名前空間の省略が可能になりました。それにより記述しなければならないコードを最小限に抑えることができます。
このような変更点がプログラムに対し、なんと20ヵ所以上ありました!変更箇所を修正し、省略したコードの補足説明を加えていくことで、より分かりやすいテキストの作成が完了しました。

準備してみて気づいた事

準備してみて気づいたことは、ゴールを共有することの重要性です。
今まで私は、与えられたタスクを終わらせることが目的になっていて、どんな理由でどのような場面に用いる資料なのかということを考えていませんでした…。
上司と成果物のイメージが異なるまま資料を作成すると、上司の意図と違う資料ができてしまい、大きな手戻りが発生する可能性があります。そのため、資料を完成させる前に、上司と話し合い、認識を合わせることで手戻りなく、より良い資料が作成できるようになりました!

他にもテキストを変更するうえで重要な点を2点紹介します。

1点目:活用する情報が正しいかを確認すること

テキストに用いる情報は、信頼できる情報であることを確認し、情報源を記載することが必要です。Webに記載されている事を鵜吞みにするのではなく、自分で正しい事を確認してからテキストに反映しました。

2点目:バグの発生やバージョンアップの情報にも目を光らせておくこと

研修で使うプログラム言語とテキストのバージョンが違う場合、せっかく作ったテキストがあてにならないという問題が起きてしまいます。メーカのサイトを調査し、バージョンアップにより影響のあるところを修正して行きました。

IT業界は情報の移り変わりの激しい業界です。最低でも自分の業務にかかわる情報は定期的に確認する必要があることなど、研修を受けていた時には思いもしないことに気付くことができました。

リハーサルをやってみた

テキストの修正が完了した後は、研修に向けたリハーサルを行います。私としてはリハーサルの準備として説明原稿を作成し、後は実際の流れを確認してやっと終わりだ!と思っていました。
しかし、実際リハーサルを行うと講義の内容だけでなく、講義中の振る舞いや姿勢、新人からの質問対応等、10ヵ所以上もの指摘をもらってしまいました…。
特に苦労したのは、質問を受けた時の対応です。新人から質問を受けた際、分からないことは持ち返り内容を確認してから正確に回答する必要があります。間違った回答をすると、新人に誤った知識を教えてしまうことになるからです。誤りを訂正しても新人を混乱させる事となりますし、講師としての信用も傷つきます。
新人に安心して講義を受けてもらうためにも、正確に伝えること、自信を持って堂々と話すことの大切さを学びました。

また、新人には私のようなプログラム未経験者もいるため、分かりやすい説明をする必要があります。単にプログラムの書き方を説明するのではなく、受講者がイメージできるように例え話を織り交ぜながら説明するよう工夫しました。
例えば、条件分岐については「if文で変数の値を判定し、Trueの場合はここに処理を書き、Falseの場合はelseの処理に入る」と言った説明をする前に「サイコロの目を判定して、奇数か偶数かでプログラムの処理が分かれるようにするには…」と言った具合に、処理のイメージをさせた後にどのようにプログラムを書くのかを説明していくと言った具合です。

やっとのことで準備も整い、ついに研修本番が始まりました…。

…続く

【執筆者】堀田
新入社員に対する開発技術研修講師を担当。

※本記事は、三井情報Webサイトで掲載しているMKIナレッジを転載したものです。